ヒラリー・クリントン米国務長官は訪中前、中国と南中国海などの東アジアの領土紛争について話し合う方針を明らかにした。南沙諸島と釣魚島の主権が誰に属するか、東アジアの領土問題を解決するロードマップを話し合うとでも言うのか。それはあり得ないだろう。
中米両国が唯一話し合えることは「大原則」だが、その余地は非常に小さい。ヒラリー氏は「平和的解決」という原則を強調すると見られ、中国はこれに反対したりはしない。また、中国にASEAN(東南アジア諸国連合)と南中国海問題について話し合うよう求めるだろうが、中国は断じてこれを受け入れたりはしない。中国の原則は争いのある国と一対一で話し合うというもので、いわゆる「多国間交渉」を中国は早くから否定してきた。
中国が米国と話せることは少なく、話し合っても無駄と言うべきかも知れない。南中国海問題と釣魚島問題がこれほどまでに発展した根本の原因は米国にある。米国は「アジア回帰」戦略という方法で中国と領土争いのある国をそそのかし、中国の発展を促す周辺の環境を破壊し、台頭を妨害、抑制してきた。
しかし、中米の上層部が面と向かって交流することは少なくとも悪いことではなく、交流しないよりはよい。ところが、ヒラリー氏の国務長官就任後の姿勢を見ると、中国の意見を聞き入れる人ではないことは明らかだ。「米国優位」の様々な理由しか考えていない彼女は外交のプロではなく、妥協する意志と経験が不足している。中国に対して完勝するための政治ゲーム方式を用い、中国が一歩二歩引いても米国は一歩も引かない考えだ。