五、人民のための司法を実践する
人間を根本とし、人民のために司法を実践することは、中国の司法活動の根本的出発点であり立脚点である。ここ数年来、中国は自ら進んで経済社会の急速な発展という新しい情勢や要請に応え、末端の司法機関の建設を絶えず推し進め、司法活動のサービス意識を強め、作業用プラットホームを拡張し、仕事のプロセスを健全化し、人民大衆の権利行使をしっかりと支援している。
(一)末端司法機関の建設に力を入れる
司法機関の処理するほとんどの案件は末端で起こったものであり、末端の司法機関は大衆に司法サービスを提供する第一線機関である。各地の末端の裁判、検察、公安、司法行政機関は末端の人民法廷、検察室、公安派出所、司法所などの出先機関の建設に取り組み、司法サービスが大衆にとっていっそう身近になり、便利になるよう努めている。 末端人民法廷の建設を強化する。人民法廷は年平均240余万件にのぼるさまざまな案件を審理しており、これは全国の法院の第一審訴訟案件の3分の1を占めている。ここ数年来、当事者の訴訟における便宜を図るために、各地の末端人民法院は出先機関としての人民法廷を回復したり、新たに設置、調整したり、また人民法廷が直接立件するしくみを推し進め、立件の手続きを簡素化してきた。全国には既存の人民法廷が1万近くあり、ほとんどの郷・鎮、街道をカバーしている。同時に、辺鄙な農村では便民訴訟ステーション、訴訟連絡所を設置し、また訴訟連絡員を選任し、人口が比較的集中しているところには巡回裁判スポットを設置し、案件の巡回受け入れと巡回処理を推し進め、できる限り大衆サービスに徹している。 末端の検察室の建設に力を入れる。各地の末端人民検察院は一部の中心的な郷鎮に検察室などの出先機関を設置し、大衆の告発・告訴・上告を受け付け、職務犯罪に関する案件の手がかりを発見、受理し、訴訟における違法な問題に対して法律に基づき法的監督を行い、犯罪予防と法制宣伝の活動を行い、社会治安の総合管理と安全な社会の創建に参加し、「コミュニティー矯正」活動を監督し、それに協力している。現在、全国の検察機関には出先の検察室2758ヵ所、検察連絡ステーション、検察業務ステーションなどその他の機関9622ヵ所がある。 末端の公安派出所の建設に力を入れる。公安機関は派出所建設に力を入れることを通じて、都市部と農村部のコミュニティーにおける警務戦略を進めている。全国には派出所5万ヵ所以上、警務室17万ヵ所以上があり、あらゆる郷・鎮と街道をカバーしている。警察力の分布と警務サービスはいっそう末端と大衆に近づき、公安機関が犯罪を予防し、取り締まり、社会の治安情勢を制御し、大衆に奉仕する能力は明らかに向上している。2006年以来、全国の公安機関が立件した殺人、強盗、強姦、誘拐、傷害など8種類の重大暴力犯罪案件は減少し続け、2010年は2009年同期比9%減、2011年は前年同期比10%減となった。 末端の司法所の建設に力を入れる。ここ数年来、司法所は法制宣伝や法律援助、人民調停に対する指導、末端の法律サービスなど本来の職能に加えて、コミュニティーでの犯罪者矯正、刑期満了で釈放された者や労働教育が終了した者に対する支援や教育など新たな職能を増やしてきた。現在、全国には司法所が計4万ヵ所以上あり、ほとんどの郷・鎮と街道をカバーしている。2004~2011年に、全国の司法所は累計して紛争の一斉捜査展開284万回、解決の難しい複雑な紛争の調停4677万件、刑期満了で釈放された者の受け入れ269万余人、法律援助案件の指導112万件、を行った。