中華人民共和国が1949年に成立すると、米国は第一列島線を中国軍事拡張を阻止する重要な障壁とした。米国のマッカーサー元帥は第一列島線を、「沈まぬ空母」と形容した。第一列島線は中国からわずか160キロしか離れておらず、ここから中国大陸の東部沿海地区に武力を投入できるからだ。12月24日付ワシントン・ポストが伝えた。
しかしアナリストは、第一列島線がすでに戦略的関連性を失ったと分析した。懐疑論者は、「公海に進出する中国艦艇にとって、第一列島線は依然として障壁であるが、中国が射程距離の長い最新鋭ミサイルを調達したことは、中国が沿海の安全を保護できることを意味する」と指摘した。
マッカーサー元帥の言葉は、中国の第一列島線の戦略的価値に対する注目を理解する一助となる。1982−1986年に中国海軍司令員に就任した劉華清上将は、解放軍海軍を中国の能力を投入する場とする「3ステップ」戦略において、第一列島線の制圧が第1ステップであるとした。第2ステップは小笠原諸島(硫黄島を含む)、グアム島、インドネシアとつながる第二列島線の制圧だ。第3ステップは、米国の太平洋・インド洋における主導的な地位にピリオドを打つことだ。
米空軍関係者、軍事専門家のMark Stokes氏は、「発展を続ける軍事技術は、地政学の戦略的関連性を引き下げている」と指摘した。例えば中国南東部の海上移動目標物を遠距離攻撃する能力は、対艦ミサイルを搭載する船舶の需要を引き下げている。上海政法学院の軍事学者の倪楽雄氏もこれに賛同し、「ミサイル・空襲・核兵器等の軍事技術が高度発展した今日、第一列島線の軍事的重要性が低下している」と述べた。中国が先進的な軍事技術を把握した場合、米国の第一列島線を利用した軍事力配備が意味を失う。第一列島線は攻撃を受けやすいからだ。
専門家のロバート・カプラン氏は、両氏の意見に反対を表明している。カプラン氏は、「米国のグアム島軍事施設の防御の面で、第一列島線は非常に重要な役割を果たす。仮に『門を閉ざす』という能力を失えば、太平洋の防衛が困難になる」と語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年12月31日