昨年は中国周辺で海洋紛争が頻繁に発生した。今年に入ってもなお各国が様々な動きをみせている。釣魚島(日本名・尖閣諸島)に関わる国防授権法案にオバマ米大統領が署名、日本の在外機関誌が公然と中国の主権に挑み、フィリピンのマスコミが南中国海における中国の軍事演習を非難・・・・・。これらはすべて偶然に起きたことではない。中国が「海洋強国」戦略を提唱したことや、世界的な海洋紛争情勢に重大な変化が起きていること、米国のアジア太平洋へのシフト戦略など東アジアの海洋問題がその背景にある。こうした地域的背景により、中国周辺の海洋情勢は今年もさらに複雑さを増し、日本・米国・フィリピンの3つの手が海洋紛争をかき乱すと予想される。
その第1の手は日本。自民党政権になっても、中日関係回復のチャンスを逸し、釣魚島の「国有化」という深刻な過ちを正すどころが、民主党政権の関連政策をそのまま引き継いでいる。主導権がない局面を打開しようと、現在日本は「北攻南守」戦略を進めており、東中国海北部の海域で争いを拡大化、一方的に主張する東中国海の「中間線」の守りを強化し、沖縄トラフ(沖縄近海の海溝)を境界とする中国の主張を否定する事によって中国の視線をずらそうとしている。東中国海南部では釣魚島争いをエスカレートさせ、軍用機を派遣して非武装の海洋監視機に対抗し、中国の海域と空域における法執行力の分散や、海上保安庁の自衛隊化、自衛隊の国防軍化を図ろうとしている。