米国がイラク戦争を発動してから20日で10年。19、20日両日にイラク国内では武装襲撃が20件起き、56人が命を落とした。これは間違いなく、「戦争はイラクに安定と繁栄をもたらす」とのイラク戦争発動者の主張に対するこの上ない皮肉だ。(文:呉建民・本紙特約論説員、国家革新発展戦略研究会常務副会長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
イラク戦争は米国が今世紀に入ってから発動した2つ目の戦争であり、反対の声が最も強かった戦争でもある。戦争勃発前に世界の約600都市で大規模な反戦デモが起きた。これは今世紀に入ってから初めてのことだった。
2003年初めにフランスのシラク大統領(当時)は私に「フランスは米国のイラク戦争発動に反対だし、徹底的に反対する」と表明。「私は以前ブッシュ大統領に、この戦争を発動しないよう戒告した。地域に持続的混迷をもたらすだけでなく、中東の平和と安定を脅かし、米国自身の利益も損なうからだ」と述べた。シラク氏の警告が正しかったことを歴史は証明した。
10年が過ぎた。この戦争はイラク人民に甚大な災禍をもたらしただけでなく、米国自身も極めて深刻な損失をこうむった。米ブラウン大学の研究によると、イラク戦争による米軍の死者は4475人で、米国は1兆7000億ドルを消耗した。今後40年でこれは6兆ドルに達すると見られる。
2008年に米国で発生した深刻な金融危機の根本的原因はウォールストリートが大きな問題を起したことにあるが、イラク・アフガン両戦争の巨額の戦費によって国家財政が空洞化し始めたことも原因の1つだ。