今年1月、私は中印関係の一層の発展という重要な使命を担ってインドの土を踏んだ。インドの悠久の歴史、燦然たる文化、日進月歩の発展に私は感服している。タゴールが述べたように「旅人は異境の戸口を全て叩いて、ようやく自分の戸口を見つける。人は外の世界を歩き尽くして ようやく心の神殿に到達する」。ここ数カ月間、私は両国の25億人の間の心の距離を縮める道を考え続けると同時に、インド各界の人々との交流を通じてインドおよび中印関係に対する認識をさらに深めた。(文:魏葦・在インド中国大使)
中印関係にとって過去10年間は大発展の10年間だったと言える。両国は溝や紛争を効果的に管理・コントロールし、両国関係の発展を積極的に促し、実効性ある友好的付き合いの道を一歩一歩探り出した。経済分野の協力を拡大し、政治・安全保障分野の協力を緊密化し、両国関係の発展は両国民に確かな利益をもたらした。世界金融危機、気候変動、西アジア・北アフリカ情勢などグローバルな問題や地域の問題において、効果的で建設的協力を繰り広げ、他の新興市場国と共に数多くある途上国の利益を守った。
われわれは中印関係の長足の進歩を十分に肯定すると同時に、歴史的、現実的原因によって双方は依然共同努力を継続し、両国の友好に「プラスのエネルギー」を放つだけでなく、具体的問題において信頼を深め、疑念を解消する必要があることも認識する必要がある。相互信頼を深めるうえでこれは効果的な方法だ。相互信頼は中印関係の維持・発展における重要な前提であり基礎だ。両国および両国人民の相互信頼が深いほど、両国関係のより良く、より速い発展が可能になる。
具体例を2つ挙げて説明したい。最近、あるインドの学者と会見した際「なぜ中国は南アジアの小国と戦略協力を発展させ、『真珠の首飾り』を形成してインドを封じ込めなければならないのか?」と真剣に聞かれた。こうした質問に対しては辛抱強く説明するほかない。南アジア各国に対して中国の外交政策は明確で一貫している。つまり平和共存5原則を堅持し、南アジアの全ての国々と積極的に友好関係を発展させるというものだ。中国はインドと友好関係を発展させると同時に、南アジアの他の国々とも友好関係を発展させる。こうした関係は相互衝突を起こさないだけでなく、反対に相互促進と良好な相乗効果をもたらす。この点において中国の心は常に清らかだ。中国と南アジア諸国との協力は各国にとってプラスであり、インドに対していわゆる「真珠の首飾り」包囲網を築くといった問題は全く存在しない。