100年余り前に米海軍の戦略研究者マハンが「制海権」理論を打ち出した。強大な海上艦隊を構築し、重点地域に海外基地を設け、海面上の空間を重点的に争奪するというのがその核心だ。だが冷戦後、軍事技術と兵器の発展に伴い、海中および海底の戦略的重要性が増し、海中の戦略的利益の争奪も激しくなっている。中国は「海洋強国」を国家発展の戦略目標として掲げており、「海中総合戦略」の策定が喫緊の課題となっている。(文:韓旭東・国防大学教授。環球時報掲載)
軍事闘争の変遷を見ると、人類の争奪する戦略的利益は地上、海上から空、そして宇宙へと発展してきた。人類は宇宙競争と同時に海中および海底の利益の争奪も始めた。海中資源はすでに国家発展の重要な柱となり、人類の発展に対する影響力を増している。したがって海中および海底の国益をいかに守るかという問題を、国家戦略のレベルにまで引き上げるべきだ。
海中および海底は大国の角逐の新たな舞台となりつつある。能力を備える国は自国の海中および海底の戦略資源の安全を守ると同時に、世界全域の公有の海中および海底の戦略資源の争奪も繰り広げている。このうち最も際立っているのが北極海での争奪だ。中日の「釣魚島(日本名・尖閣諸島)をめぐる争い」における日本の戦略的企ての1つが、海中および海底の資源をより多く占有することにある。