中国の王毅外交部長(外相)は5日、訪問先のベトナムで「南中国海における行動規範(COC)」の制定について中国側の見解を明らかにし、「理にかなった予期」「協議による合意」「妨害の排除」「段階的推進」との4点を主張した。これには、ごく一部の国が情勢判断を誤り、南中国海での中国との領有権・海洋権益争いを解決する「特効薬」「即効薬」としてCOCを使おうと企てているという背景がある。こうした誤った行動はすでにCOC制定の正常なプロセスを妨げ、南中国海の平和と安定に影響を与えている。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究所国際戦略研究部副主任。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
フィリピンは近年、南中国海の領有権争いにおける「急先鋒」となっている。フィリピンは南中国海で頻繁に挑発をし、目的をもって軍事的プレゼンスを強化しているうえ、南中国海問題の多国間問題化、国際問題化を繰り返し推し進めている。フィリピンはCOCの制定を懸命に推し進め、自国の利益に「ASEANの意志」とのカモフラージュを施すことで、COCの助けを借りて中国を抑えつけるとの目的を達成しようとしている。
フィリピンの数々の行為はCOC制定の本旨に明らかに背くものだ。中国とASEANは2002年に「南中国海における関係国の行動宣言(DOC)」に調印した。DOCは「COCは地域の平和と安定を一段と促進するものであり、各国の協議による合意を基礎に、この目標の最終的な達成に向けて努力することに同意する」とした。根本的な目標および趣旨として、DOCは南中国海地域の平和と安定に尽力するものである。地域の組織であるASEANも南中国海係争において特定の立場を取らず、係争は領有権主張国間の平和的交渉を通じて解決すべきだとの考えを繰り返し強調している。したがって、COCは具体的な係争を解決するために制定するものではなく、COC制定の本旨を歪めて、中国の領土主権と海洋権益にいくつかの国が挑戦するための道具とすべきではない。