米上院は先月29日、釣魚島(日本名・尖閣諸島)周辺、南中国海での中国の「威嚇や武力行使」を非難する決議を全会一致で可決した。決議は、今年1月に起きた中国艦艇による海上自衛隊護衛艦への火器管制レーダー照射等の例を挙げ、中国周辺海域の緊張情勢がエスカレートしていると指摘、西太平洋海域の航行の自由に「米国の国益がかかっている」と強調した。シンガポール紙・聯合早報が伝えた。
米上院でこうした決議が可決するのは非常に珍しい。同決議は米政府に対して拘束力はないが、日本の安倍政権の遊説が少なくとも米議会で成功したということであり、米国の中国への「警告」の意図も伺える。
日本防衛省がこのほど、新たな「防衛計画大綱」策定に向けてまとめた中間報告は特に注目を集めた。同報告の要綱によると、日本は釣魚島の一帯および朝鮮の核ミサイルへの監視・警戒を強化するためし、「装備の充実化が不可欠」で、超高空無人機を調達し、海兵隊に準じる部隊を創設するなど特別措置を含む「先制攻撃」能力の保有を検討しているという。特に第二次世界大戦で旧日本軍に蹂躙されたアジア各国はこれに不安を感じている。
右翼勢力はもちろん日本の平和憲法の制約を度外視しているが、日本国民までこの危険な傾向に見て見ぬふりをしている。この動向自体、関連国への警鐘といえる。マクロの戦略的角度から見ると、日本社会全体が憲法第9条の制約からの「脱却」を心理的に受け入れる傾向にある。今起きている静かな変化はこの傾向の一部に他ならない。北東アジア地域の平和と安定について、将来脅威が一体どこから来るかというと、危険性はここにあるといえるかもしれない。