■投資は大丈夫か?
現時点の情報によると、東京五輪の予算はわずか33億ドル。これは前代未聞の少なさであり、北京五輪の10分の1に過ぎないとの指摘もある。1964年の東京五輪で、日本は施設建設などに3000億円を投じた。また、新幹線など交通インフラの整備には数兆円を投じた。この投資額は当時の日本のGDPの約10%に相当する。だが現在の日本政府はこの面で「心はやれど力及ばず」だ。
もちろん、東京のインフラはすでにほぼ完全であり、事前投資の圧力はずっと小さい。それでも、この予算額は余りにも少ないと言える。過去数回の五輪を見ると、主催都市は赤字になる可能性が高い。結局のところ、経済状態が当時とは異なる。2020年の東京五輪が直面するのは弱々しい日本経済であり、1960年代の飛躍を始めた日本経済ではないのだ。
現在、日本の債務の深刻度は決して欧州を下回らない。2012年に日本の一般政府財務残高の対GDP比は214.3%にも達した。これはギリシャやイタリアを遙かに上回り、世界最悪だ。また、安倍晋三首相就任後に決定された新規国債発行規模は53兆円を超えており、これは2012年の名目GDPの11.2%に相当する。最新の統計によると、日本の債務残高の対GDP比はすでに250%を超えた。
ギリシャはアテネ五輪の投資規模が大きすぎたうえ、経済に対して直接的、短期的牽引効果を生じなかったために、債務危機の悪夢に陥ったのだ。この点から見て、もし安倍首相が五輪を日本経済を泥沼から引き上げる救いの綱と見なしているのなら、反対にギリシャの後塵を拝することになる可能性が高い。