今年9月に開かれた第68回国連総会において、安倍晋三首相はその演説の中で、憲法の解釈の見直しによる集団的自衛権の解禁を主張した。その目的は日本を「世界の平和と安定により積極的に貢献する国にするため」だという。
安倍首相は10月9日に日本プラスASEAN10カ国の首脳会議に出席し、「日本政府は憲法解釈の見直しによる集団的自衛権の行使を検討中」と再び触れ、「国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、地域の安定にさらに貢献していく」と表明した。
日本がアジアの隣国と領土問題に陥り、本人も「右翼化が甚だしい」と指摘されながら、安倍首相はなぜ影響を顧みず集団的自衛権の宣伝を続けるのだろうか。
まず、安倍首相は「美化」の宣伝により、世界を欺こうとしている。かつて大規模な侵略戦争を仕掛けた国として、戦後の日本の一挙手一投足はすべて厳しい監視下に置かれた。安倍首相は「戦後体制」の打破により、日本の軍拡の規制を緩和しようとしており、「美化」の宣伝を開始した。安倍首相はこのような宣伝により多くの国から理解を得て、同時に「解釈」を繰り返すことにより、かつて日本に警戒心を抱いていた国の緊張をほぐそうとしている。
次に、安倍首相は外交により内政に影響を与えようとしている。日本の集団的自衛権を認めさせることは、安倍首相が2012年末に再起してから実現を目指している宿願である。しかし具体的に実行に移す中で、安倍首相はさまざまな圧力に直面している。連立与党を組む公明党は慎重な態度を示し、自民党支持者の約半数が反対を表明しており、自民党内部からも異なる声が漏れている。安倍政権にとって、各国の首脳が一堂に会する多国間会議の場で日本の「態度」を明確に表明し、かつ否定的な観点が出されなかったことは、宣伝が成功を収めたことを意味する。外交の宣伝で進展があれば、逆に国内世論に影響を与えることができ、関連法案の枠組みと文書の議決を促せる。