世間は往々にして、報道官におもしろさや個性、時には激しいバトルをすることを期待する。だが外交部の公開している資料と報道からは、報道官にとって最も重要なのは、堅実で、穏やかで、政策に裏付けられた発言ができることであることがわかる。政治的な資質は必須で、「愛国的で、しっかりした立場を持ち、中国を代表して発言できる」必要がある。さらに専門的な資質も必要で、政策を把握し、国内外をよく知り、相手を導く能力がなければならない。また臨機応変で言葉が上手で、変化に富んでいることも大切だ。李肇星氏が12月に発表した書籍「説不尽的外交」(言い尽くせない外交)では、報道官の役割についてこう書かれている。「記者会見は即興のパフォーマンスではない。正解ならラッキーという学生の解答用紙のようなものでもない。報道官は発言にあたって2つのことを把握しなければならない。自分が知っていることを語ること、自分が言っていいことと言うべきことを語ることだ」。
報道官は同じ立場を何度も強調しなければならない。大国の外交政策には安定性と一貫性がなければならないからだ。「態度の変化は背後の政策の変化を意味するとも捉えられる」と清華大学の新聞・伝播学院の周慶安・准教授は語る。周准教授によると、中国の報道官制度のあり方については時間をかけて人々の理解を育てなければならないという。
会見場の外では、多くの報道官は話がうまく、思考力に富んだ顔を見せる。現役報道官の洪磊氏は、「私の前には24人の立派な報道官がいました。いかにこの伝統を受け継ぎ、使命に泥を塗らないかに、私は毎日直面しています」と語る。報道官は有名な受け答えの例をよく読んでおり、それぞれのお気に入りもある。「米政府のカンボジア問題に関する解釈には矛盾がある。誰が私たちに対して嘘をつき、私たちを通じて米国人に嘘をつこうとしているのか」と記者に聞かれたキッシンジャーは、1秒考えてから、「質問の建設的精神は気に入った」と答えたという。またニクソン訪中時、ある米国の記者は周恩来総理にこう尋ねた。「総理、なぜ米国人はいつも顔を上げて歩き、中国人はいつも頭を下げて歩いているのでしょう」。周恩来総理は笑って、「不思議なことはありません。米国人が歩いているのは下り坂、中国人が歩いているのは上り坂ということでしょう」と答えたという。(編集MA)
「人民網日本語版」2013年12月25日