ある種の意義からいって、中国の運命共同体は初めは環境を改造し、改善を進める中で徐々に形成された。中国は「治水の社会」だと言う人がいる。歴史をひもとくと黄河や長江などの大型河川がたびたび容赦なくその流れを変え、洪水を巻き起こしてきた。昔の人は団結し水の流れをスムーズにするなどの方法で水害を軽減させる必要があった。これは長期にわたる水害対策の基本的な社会的ニーズであり、古代の中国人はそれぞれに社会組織を形成し、初期の国家を形成した。「治水に成功した禹」という伝説には、このような歴史の影響がある。
現在、新たな環境の課題に直面して、中国の指導者は「宣戦布告」という姿勢で自らの決意を表明した。環境の悪化は長期的な現象であり、環境の改善も長期的な取り組みだ。だが「多くの犠牲がなければ、新しい時代はやってこない」ものだ。政府の関連部門は力強く誘導し、厳格に監督管理を進める。企業や工場は省エネ・汚染物質排出削減という社会的責任を着実に履行する。個々人は「グリーン」な生活を出来る限り送る……それぞれの主体が小さな「犠牲」を受け入れれば、それと引き換えに環境の改善という大きな成果を挙げることができ、さらには人々が運命共同体の中で苦楽を共にし、力を合わせて困難を乗り切ろうとする熱い戦いの気持ちを持てるようになる。
実際、中国の新指導部の約1年間にわたる執政の状況を詳細に観察すると、「環境」が間違いなくキーワードだといえる。環境とは何か。それは、一人一人が切実に感じる身の回りの状況だ。自然環境がよければ、心身が健康でいられる。ネットワーク環境がよければ、思想がクリアになる。社会環境がよければ、落ち着いた心境になる。政治環境がよければ、何事もスムーズに行える。環境をめぐるさまざまな問題が、人々に幸福感の喪失を感じさせているが、環境が改善すれば、人々は幸福感が戻ってきたと感じるようになる。