交信を途絶えていたマレーシア航空MH370便が南インド洋に墜落したという訃報が流れた。このような悲劇が二度と繰り返されぬよう、我々は今回の事件から教訓を汲み取ることを忘れてはならない。
今回の事件を通じて浮かび上がる問題がいくつかある。まず、グローバル化という背景下にあっても、捜索、救援は依然各国間の相互信頼レベルの影響を受けてしまうということだ。自国の安全への配慮から、レーダーから得られた詳細なデータの提供を拒んだ国があったことはその最たる例で、自国の利益を重視するがゆえに意味の不鮮明な説明をするという状況まで見受けられた。
次に、各国の技術力に差があるということだ。一部の国は監視能力において我が国と大きな差があり、これらの国は救援への気持ちはあっても実力が及ばないことがある。そのため、同様の平和的な救援活動においては、積極的に国際協力を進めると同時に、ある程度の「自己判断」が必要だということだ。
三つ目に、MH370便には154名の中国人乗客がおり、事件発生当初、我が国は早急に救援活動を展開すべきであったが、様々な国際間のルールに阻まれ、活動は思うように進まなかった。ここでの最大の問題は、中国は海外の拠点がないということだ。国と国民の利益を守るべく、海外の駐屯地あるいは基地の建設を早急に検討すべきである。
海外に基地を設けることは、世界の主要国の慣例であり、国益維持と人道主義の履行という責務を担う新興大国として、海外に拠点がなければ、平和な時期にあってもこれらの責務を有効的に果たすことは困難になる。