さらに、中国からの投資というチャンスがある。中国からの投資を誘致し、人民元オフショアセンターを建設し、中国の欧州投資に向けた足がかりとなる――。これは今や、欧州諸国の対中国経済貿易関係の主旋律となっている。中国・EUの投資協定締結に向けた交渉は、自由貿易協定(FTA)締結に向けた布石となる可能性がある。英国は自国のことを「最も開放的な経済体であり、華為などの中国系企業に投資の門を開いている。アジア以外で初の人民元決済センターがまもなくロンドンに建設されるのがなによりの証拠だ」と表明している。
こうした現象は英国に限ったものではない。習近平主席は今回の欧州歴訪で、オランダ、フランス、ドイツ、ベルギー(EU本部)を訪問したが、どこの国も先を争うように、自国が中国にとって欧州における最良の協力パートナーであると主張した。「フィナンシャル·タイムズ」紙の報道によると、習主席の欧州訪問期間、フランスの官僚はドイツ・中国貿易がフランス・中国貿易を大きく上回っていることに不満をもらし、英国も投資環境がフランスより良好であることを全力で主張していたという。中国をめぐるEUの3大国間の競争はかくも激しいものとなっている。
経済振興、輸出拡大、雇用増加を目的とし、西側諸国は相次いで中国との協力のチャンスをつかもうとし、新たなグローバル化の中で発言権を強めようとしている。これらは全て、中国の成功に伴う中国と欧州のパワーバランスの変化によるものだ。
改革開放以降、質が良く値段も安い「メイド・イン・チャイナ」により、西側先進国の生活コストが大幅に下げられた。そして今、中国の新たな改革開放というチャンスをつかむことが、彼らが危機を脱し、より高水準のグローバル化という挑戦を迎えるためのまたとない選択肢となっている。このことは、今後数年間にわたり、中国にはかなり大きな戦略的チャンスが存在することを意味している。