フィリピンは2013年1月、中比の南中国海の係争を巡り国際仲裁を求め、2014年3月30日に国連の仲裁裁判所に対していわゆる「訴状」を提出した。この一方的な働きかけ、仲裁を強行推進する間違ったやり方は、国際法および国際問題の専門家から批判を浴びている。
国家海洋局海洋発展戦略研究所副所長の賈宇氏は取材に対して、「いかに包装しようと、フィリピンのいわゆる提訴は領土主権および海洋の境界線の問題と密接なつながりを持ち、その本質を変えることはできない。1970年代より、フィリピンは中国の南沙諸島の一部の島嶼(歓島、費信島、中業島、南鑰島、北子島、西月島、双黄沙洲、司令礁)を不法占拠している。これは中比の南中国海問題の根源だ。中国政府は2006年に国連事務局に声明文を提出し、領土主権、海洋の境界線、軍事活動などの係争について、『国連海洋法条約』(以下、同条約)の第15部第2節が定めるいかなる国際司法・仲裁の管轄も受けないと表明した。フィリピンによる仲裁の提訴は、実質的には両国の南中国の一部の島嶼を巡る主権争い、南中国海の一部海域の境界線を巡る問題だ」と指摘した。
清華大学法学院准教授の張新軍氏は、「法的手続きから見ると、フィリピンの措置は一般的な国際法と同条約の紛争解決手続きの中で、明らかな間違いを犯している。まず島嶼の主権問題は、同条約の解釈と適用の間に関係を持たず、締約国は同条約の枠組みの中で提出するべきではない。次に同条約の第298条は締約国に権利を与えており、声明により海洋の境界線などの係争を同条約の司法手続きから排除することが可能だ。同条約の上述した規定に基づき、中国政府は2006年にこれらの係争を排除する声明を発表した。この状況の中、フィリピンは同条約の締約国として、同条項の拘束を受けなければならず、一方的に訴状を提出できない。フィリピンの訴訟は、南中国海の係争の本質を歪曲・包装し、国際舞台で同情を勝ち取るためのものだ。しかし現実面から見ると、平和的な二国間交渉・協議こそ、領土主権および海洋の境界線に関する係争を解決する効果的な方法であり、いわれなき挑発行為は問題解決を難しくするだけだ」と語った。
中国国際問題研究所所長の曲星氏は、「フィリピンは、いわゆる仲裁結果が自国にとって有利とは限らず、また中国に対していかなる効力も発揮せず、海上の実効支配の現状にフィリピンに有利ないかなる変化も生じないことをよく理解している。フィリピンはあくまでも仲裁を申し立てたが、これには次の計算がある。まずは、国際世論に働きかけ、中国に圧力をかけるよう国際社会に促すことだ。次に、国民の視線をそらし、黄岩島(スカボロー礁)の軽率な挑発が大失敗を招いた失態を隠すことだ。それから仲裁を申し立てることで、南中国海の係争を刺激し、そこから不当な利益を得ることだ」と分析した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年4月3日