カナダのジョセフ・キャロン元駐日大使は朝日新聞のインタビューに「『アベノミクス』はジレンマに直面している。中韓との対立を深めるのは、日本経済の復活という目的に逆行しているからだ。例えば観光産業を考えても、外国人訪日客の7割以上はアジアから来ており、うち韓国、中国大陸部、台湾、香港からが大半だ。カナダ人は決して、その代わりにはならない」と指摘。「安倍首相が目指す経済的な目標には、10年以上の時間が必要だ。それは、隣国である中国との関係を強化しなければ、決して実現しない。日本にとって、中国や韓国を無視するといったような選択はもあり得ない。福沢諭吉の時代の『脱亜入欧』といった政策は、絶対にできない」との認識を示した。
日本の山内康一衆院議員は「日本外務省は『安倍首相の外交は成功』と主張し続けているが、実際には日本の国際的イメージは悪化している。これは日本外交の力が弱まったことの表れだ。安倍政権への支持の大部分は中国に対する強硬姿勢によるものだ。だがこれは日本の長期的利益を損なう。ネット右翼の方法で現実世界で発言し、事を処理すれば、国際世論の袋叩きに遭うのは必至だ。日本の外交的行き詰まりを打開するには、隣国との関係を改善しなければならない」と表明した。
法政大学大原社会問題研究所の五十嵐仁教授は「日本の内外政策は誤った道に入りつつある。安倍首相のやり方は歴史を美化し、未来を損なうものだ。過ちを正さなければ、日本が戦後70年近く苦心して築いてきた『平和国家』のイメージ、周辺国との関係、現有の経済規模とソフトパワーは、恐らく全て失われてしまうだろう」と指摘した。(編集NA)
「人民網日本語版」2014年5月15日