共同開発、戦略的な知恵を持つ
釣魚島の係争について、公船もしくは軍機を同海域に派遣し主権を宣言し、日本に対して釣魚島の主権に係争が存在することを認めるよう迫り、それから共同開発の問題の議論に戻ることが、中国の現段階の目標になっている。現在の中日関係の緊張を鑑みると、この目標は短期間内には実現が困難だ。しかし両国には密接な経済・貿易関係があるため、中日が釣魚島の係争で軍事衝突に至る可能性は低い。
中越の西沙諸島の対峙で、ベトナム船は中国の海の圧倒的な実力により、リグ981に接近することができていない。ベトナムには国際裁判所に訴える他に、中国の西沙諸島の海域での油田・ガス田開発を阻止する良い方法はない。中越は陸上の国境で衝突したことがあり、衝突によりどのような結果が生じるかをよく理解しており、西沙諸島の対峙をその他の領域にまで拡大する可能性は低い。中国は1974年に発生した西沙諸島の戦いの後、西沙諸島を支配し続けている。リグ981を派遣した目的は、「自国の海域」で油田を調査・掘削することだ。ベトナムが、軍事的な手段によりリグ981を破壊するなど過激な行動に出なければ、中国が軽率に武力を行使することはない。
日本、ベトナムという「宿年の敵」よりも、中国はフィリピンとの係争の中で「落ち着き」を示すことができるだろう。国力に大きな開きがあるため、中国はフィリピンを敵や脅威とはしていないが、だからと言ってフィリピンに手心を加えるとは限らない。フィリピンは中国の多くの漁師を拘留しており、かつ中国を国際裁判所に提訴した。これらの問題が深刻化すれば、中国は2012年に黄岩島を支配した古い手段を繰り返し、仁愛礁に駐留するフィリピンの軍人を駆逐し、これを手中に収める可能性がある。
中国と日比越の島嶼を巡る係争が短期間内に治まることはないが、平和的な解決の可能性がないわけではない。鄧小平氏は1980年代に、係争を棚上げにし共同開発する方針を提唱したが、これには戦略家の知恵が凝縮されている。この知恵は東中国海・南中国海のリスクを管理する中国の指導部に融通を利かす大きな余地を残したほか、日比越に中国との係争を解決するための筋道を提供した。係争を棚上げにし共同開発を進めることは、各国にとって最も理想的な結果ではないかもしれないが、少なくとも最悪の結果ではない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年6月10日