習近平国家主席は21−22日にかけてモンゴルを訪問する。両国は全面的な戦略的パートナーシップの強化を発表した。習主席は今回の外遊で、モンゴルのみを訪問する。これは中国のモンゴルに対するかつてない重視を意味する。これとは対照的に、米大統領は歴史上、モンゴルを一度しか訪問したことがない。ブッシュ元大統領は2005年の北京訪問のついでにウランバートルを訪問し、4時間滞在し宿泊もせずに立ち去った。
習主席が中国周辺諸国を訪問するのは今年2回目で、前回は今年7月だった。韓国は習主席の2日間の外遊で、唯一の目的地となった。
中国は周辺諸国を重視しており、外部の力も中国周辺を重視している。中国周辺は、特殊な意義を持つ国際政治の空間になったかのようだ。台頭する大国にとって、これは珍しいケースだ。米国の「アジア太平洋リバランス」戦略は、中国周辺を対象に策定されたと見なされている。「中国周辺諸国」は、無視できない経済・政治的意義を持つステータスになっている。
いかにこのステータスを利用するかという問題について、中国と米国はアジア諸国に異なる意図を示している。中国は隣国との友好的な協力、中国の台頭により生まれる機会の共有を願っている。米国は「アジア太平洋回帰」により、中国のパワーバランスを整えようとしている。中国の急速な台頭は西側諸国に、アジア地政学の激動の根源と見なされやすい。ゆえに中国経済の波に乗ると同時に、米国の「中国のバランス」という保険を握っておくことは、地域内の一部の国にとって魅力的な選択肢だ。
モンゴルは中ロという二大国に挟まれており、両国と地理的な利便性を利用した協力を展開することには、自ずとメリットがある。しかし地理的に近いことは、モンゴルを不安にさせている。このパラドックスは、モンゴルを長く悩ませている。外国がこのような状況に置かれている国を刺激することは、中国のような大国が周辺に対する善意を証明するよりも容易なことが多い。
しかしながら、中国は上手に立ちまわっていると言うべきだ。モンゴルは前世紀末より、国境を接しない「第3の隣国」を求めようと躍起になったが、米日などの「第3の隣国」との協力は順調に進まなかった。中国の我慢強さ、平和的な姿勢が試されている。