「歴史は最良の教科書であり、最良の気付け薬でもある」。全民族抗日戦争勃発77周年記念式典で、習近平国家主席はこう語った。中国に対して、この言葉には三重の意味がある。(文:華益文・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
その一、歴史を銘記し、平和を大切にする。アヘン戦争から新中国成立までの100年余り、中国人民は戦乱と苦難を何度も経験し、日本による中国侵略戦争だけでも中国の軍民3500万人余りが死傷するというこの世の惨劇をもたらした。中国人は平和が大変貴重であることを深く知っており、平和を熱心に求めている。
その二、「己の欲せざる所、人に施す勿かれ」。中国は「強くなった国は必ず覇権を唱える」との説に賛同しないだけでなく、実際の行動によってこの説を打破すると堅く信じる。中国は平和的発展の道を堅持し、共同の繁栄と安全を追求しており、すでに地域と世界の平和・安全を守る重要なパワーとなっている。
その三、「天下安なりと雖も戦を忘るれば必ず危し」。中国はひどく貧しく、弱かった歴史の暗い影からとうに抜け出し、総合国力が大幅に高まり、自らの主権、安全、発展上の利益を守る拠り所を有している。だが国際政治の厳しい現実は、平和はたやすく手に入れられるものでは決してなく、平時も警戒を怠ってはならないことをわれわれに繰り返し告げている。
日本に対しても、この言葉には三重の意味がある。
その一、「大国でも戦いを好めば必ず亡びる」。人類の歴史において、武力で対外侵略・拡張した国は、一時的にどれほど興隆し、おごり高ぶろうとも、いずれも結局は失敗する運命を迎えた。日本は明治維新後に国力が大幅に高まると野望を膨らませ、対外植民地支配・戦争を選択したが、最終的に無条件降伏によって歴史の懲罰を受けた。
その二、歴史を忘却する者は同じ過ちを繰り返す運命にある。歴史を忘却することは、教訓を忘却することである。そして教訓を忘却すれば、将来の参照を失う。ましてや日本の政府と右翼勢力は企てを抱いて侵略の歴史を否認、さらには美化し、戦後形成された国際秩序にほしいままに挑戦している。これ自体が国家間の相互信頼を破壊し、地域に緊張をもたらしている。歴史の潮流に逆行するこのような日本の動きは、地域と世界に新たな面倒をもたらす。