中印は古い伝統を持つ文明国で、過去2000年以上に渡り文化交流と相互学習を進め、双方の文明を発展させ、充実したものにした。
中印両国はアジアの大国、発展中の大国、経済成長率が最も高い国であり、BRICSや多国間組織・フォーラムの加盟国だ。世界経済と戦略の重心がアジア太平洋に移る中、中印関係はアジアと世界の新たな政治・経済の秩序を定義づけることになる。ゆえに習近平国家主席の訪印は、インドとの二国間関係の強化に対する強いシグナルとなった。双方の各分野の規則に、変化が生じることが予想される。
今回の訪問は、両国の経済関係を力強く促進する。インドが日本の投資と技術を欲しがり、中国からの投資と技術をないがしろにすることはない。中国は依然としてインド最大の貿易相手国で、インドの貿易総額の約9%を占めている。しかしながら、中国の対印投資は、対日投資ほどの規模には達していない。今回の訪問は、この構造の乱れを解消する。中国はインドで、工業団地の設立を目指している。これはインドの雇用機会を創出し、貿易赤字を縮小することができる。中国のインフラ面の技術は成熟しており、価格も競争力を持つ。インドがこれを欲しがらないわけがない。
戦略的な角度から見ると、双方の相互信頼関係がさらに強化される。双方はより積極的に、包括的な共同安全の枠組みを模索する可能性がある。両国はバングラデシュー中国―インドーミャンマー(BCIM)の経済回廊の建設を推進している。これは実際には、中印の最も古い南方のシルクロードだ。習主席が提唱する「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)は、非常に高邁な考えだ。
インドは「海上シルクロード」を疑問視してはいるが、この提案を受け入れた場合、米国のアジアリバランス政策が空振りに終わるだろう。インドは中国とBCIM経済回廊、すなわち南方シルクロードの建設を推進できるのに、なぜ海上シルクロードの建設には加わろうとしないのだろうか?