海上シルクロードは漢の時代より、中印文明の対話の中で非常に重要な力を発揮してきた。中国の歴史学者の班固の『漢書』には、これに関する記載がある。隋、唐、宋、明、清の時代に、両国の海の交流は頻繁化した。インドの東・西海岸の港には、中国と東南アジア諸国の船が押し寄せた。中国の港でも、同様の光景が見られた。インドがこの構想に参与すれば、西側が唱える、中国がインドをけん制するという「列島線戦略」が論拠を失うことになる。海上シルクロードは、アジア諸国の経済を一つに結びつけ、各国間の経済・文化交流を力強く促進する。
今年は「中印友好交流年」だ。両国の学者、観光客、経営者、メディア、シンクタンクなどが各レベルの交流を行っているが、さまざまな障害により交流は一部のみに限られている。中国のビザ政策も、まだ開放が進んでいない。多くの中国人学者はインドで開かれる学術会議に出席できず、中国語ブームを形成するための教職員の交換なども行えない。これらはいずれも、解決すべき点だ。
上述した状況は、中印の間に多くの問題が存在することを示している。未解決の国境問題も、その一つだ。これは相互信頼を損ねる根本的な原因である。指導者の政治的意志がなければ、国境問題が解決されることはない。
インドは「自主的な戦略」という外交政策を主張している。これには「非同盟」という中身が含まれる。これはインドの歴史的な外交政策の発展、インドの地理的位置と関連している。この外交政策の成否は、世界のパワーバランスの変化によって左右される。モディ政権が推進する外交政策は実務的で、日本と関係を改善すると同時に、中国や米国とも関係を改善しており、どちらかに肩入れすることは絶対にない。(筆者:狄伯傑 ジャワハルラール・ネルー大学教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年9月19日