アジア太平洋経済協力(APEC)会議の非公式首脳会議に先だっていつも行われる最高経営責任者(CEO)サミットは、各エコノミーの指導者とビジネス界とが対話する重要なプラットフォームであり、アジア・太平洋地域で最も大きな影響力をもったビジネス界のイベントでもある。APECの主旨は加盟する各エコノミーの貿易・投資分野における統合進展を促進することにあり、これは企業の命運と密接な関連をもつことだ。各エコノミーの企業家たちはAPECの場を借りて、それぞれの要求を表明したいと考えている。「中国青年報」が伝えた。
今回の北京APECにおけるCEOサミットは、9日に行われた習近平国家主席の講演とともに幕を開けた。習主席が提唱した「アジア太平洋の夢」や「中国経済の新常態の特徴と好機」は、その後行われたCEOと政府要人との双方向の交流活動で頻繁に取り上げられるキーワードになった。
習主席は講演の中で、「市場の活力は人から生まれるものだ。特に企業家から生まれ、企業家の精神から生まれるものだ」と述べた。これについて聯想集団(レノボ)の楊元慶董事長(会長)は、「アリババ(阿里巴巴)集団は世界一のネット通販企業ではないが、ビジネスモデルのイノベーションによって、米国ニューヨーク証券取引所で過去最大規模の新規株式公開(IPO)を行った企業になった。アリババのイノベーションは他の科学技術型企業を大いに励ましている。イノベーションには単なる製品のイノベーションだけではなく、ビジネスモデルのイノベーションもある」との見方を示した。
米国の前通商代表で法律事務所メイヤーブラウンJSMの戦略顧問であるスーザン・シュワブ氏は、「政府がイノベーションの主体になる必要がないことは確かだ。政府のイノベーションに対する支援で最も重要なことは、社会全体の中にイノベーションに有利な環境システムを構築することで、とりわけ政策の制定を通じて中小企業のイノベーションを奨励し、イノベーションのエネルギーを備えた中小企業を成功に導くことだ。また一方では、政府がやるべき事には監督管理の強化も含まれ、これには知的財産権の保護なども含まれる。政府にとって最も重要なことは投資を行うことではなく、環境を作り出すことだ」と述べた。
習主席はサミットで一連のデータを紹介した。今年第1~3四半期(1~9月)、中国の最終消費の経済成長への貢献度は48.5%に上り、投資を上回った。サービス業の生産額は全体の46.7%を占め、引き続き第2次産業を上回った、というデータだ。
プライスウォーターハイスクーパース(PwC)のインターナショナル会長のデニス・ナリー氏もこのデータに注目する。ナリー氏は別のデータを紹介して中国経済の変化を明らかにした。「今年6~8月、PwCはAPECメンバーで事業を展開する企業家635人に対して調査研究を行った。企業家たちの共通した見方は、中国経済の成長率は鈍化したものの、中国市場は魅力を失ってはいない、というものだった。企業家たちは既存の製品やサービスの中国市場における発展については、世界の他の市場における発展よりも楽観的な見方をしている」という。
またナリー氏は、「海外企業の投資家が中国経済の構造調整に対して抱く評価はプラスのものだ。ほとんどの企業は中国経済に対する注意力をサービス業に集中させており、中国政府が金融や技術などの分野での支援を拡大することを願っている」と強調した。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年11月11日