10年間の長きにわたりイタリアに逃亡していた経済犯罪容疑者、張某が3日、法にのっとり中国に引き渡された。欧州の国が経済犯罪容疑者の中国への引渡しを承認したのは初めてであり、中国の国外逃亡犯追跡逮捕と国際法執行協力に新たな突破口が開かれたことを示すものだ。(文:華益文・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
長い間、一部の経済犯罪容疑者はあらゆる手を尽くして巨額の金と共に国外に逃亡し、法の制裁を逃れようと企ててきた。その多くは西側国を選択し、中国との法律制度の違いを利用して庇護を求めてきた。彼らの目には、こうした国々はさながら「罪を逃れる楽園」のように映ってきた。
国外逃亡容疑者は腐敗犯罪に関わっていることが多いため、彼らが法の制裁を逃れてのうのうとしていることは反腐敗活動の展開に直接影響を与えてきた。特に、出国さえすれば自らの罪を帳消しにできるとの錯覚を容疑者に与え、いつの間にか一部の者を無謀な行動を起こし、公然と法律を犯し、様々な方法で逃れることを選択するよう駆り立ててきた。
こうした状況は変わりつつある。中国は1980年代から国外の逃亡犯追跡逮捕・不法取得資産没収の取り組みを開始し、幾重もの困難や障害があったものの一貫してあきらめずにきた。この2年間で国内で反腐敗の嵐が激しさを増すにともない、国外での逃亡犯追跡逮捕・不法取得資産没収の取り組みも加速した。これは中国が作り上げた逃亡犯追跡逮捕の強力な武器のおかげだ。
その一、強靱な意志と決意が国外逃亡犯追跡逮捕の最大の武器となった。習近平総書記は「国外を腐敗行為をした者の『罪を逃れる楽園』にさせてはならない。腐敗行為をした者はたとえ世界の果てまで逃げようとも、連れ戻して法の裁きにかけなければならない。5年、10年、20年でも追い、腐敗行為をした者の退路を断たなければならない」と明確に指摘した。中国共産党第18期四中全会は「反腐敗国際協力を強化し、海外での腐敗取得資産没収・逃亡犯追跡逮捕、送還・引渡しを強化する」と重ねて表明した。中央反腐敗調整グループの統一計画の下、関係当局は国際逃亡犯追跡逮捕・不法取得資産没収活動内部調整制度を相次いで設け、逃亡犯追跡逮捕・不法取得資産没収活動を展開し、国外逃亡犯の追跡逮捕という国の意志を体現した。