今年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の開催国であるフィリピンは、中国の情報を待ち気が気でない様子をしていた。フィリピン政府は「首を長くして待っている」と表明した。その原因はこうだ。(文=張敬偉・察哈爾学会研究員)
(一)中国以外のすべての加盟国が出席を確認している。その中には、米国のオバマ大統領、ロシアのプーチン大統領が含まれる。中国はAPEC加盟国の中では米国に次ぐ存在で、かつ昨年のAPEC首脳会議の開催国でもある。中国が習近平国家主席の出席の発表を遅らせ、フィリピンを不安にさせている。
(二)周知の通り、中比は南中国海の島嶼の主権を巡り係争している。フィリピンは中国の反対を顧みず、ハーグの常設仲裁裁判所に訴えを起こし、両国の対立をエスカレートさせた。中国と周辺諸国の島嶼の主権を巡る係争において、フィリピンは最も大きく凶暴な声をあげている。特にフィリピンは国際的・多国間の場において、常に南中国海問題を国際化・複雑化させている。米日やASEANの力を借り中国に対抗することは、フィリピン政府の通常の動きになっている。
(三)中国の周辺諸国の外交が、このほど頻繁になっている。李克強総理は訪韓し、中日韓首脳会談を3年半ぶりに再開させた。習主席はベトナムとシンガポールを訪問し、シンガポールでは歴史的な意義を持つ馬英九氏との会談を行った。観測筋は、「中国はわざとフィリピンのリズムに合わせず、フィリピンとベトナムを切り離し、かつマニラのAPECの首脳会議に欠席することで、フィリピンの南中国海の立場に不満を表す」と分析した。