APEC首脳会議が本日、フィリピンの首都マニラで開かれる。米国が南中国海の話題を、本来ならばアジア太平洋の経済・貿易協力を議論する会議に持ち込むことが懸念されている。フィリピンは南中国海の領土問題をAPECの議事日程に盛り込まないと表明しているが、米国は南中国海を正式な議題としなくても、会議以外の場で取り上げられることもあると表明した。
混乱する欧州情勢と比べ、APECのこの駆け引きは些細なことだ。深刻なテロ事件が欧州の足並みを乱している。フランスは国境を閉鎖し、一部の国はシリアの難民受け入れの態度を見直そうとしている。大西洋の対岸に位置する米国でも、27州が中東の難民受け入れを拒否している。しかしながら中東の戦乱と動乱は継続中で、難民の流出が止まらず、新たな不満と憤りが積もっている。
多くの人は、欧州の混乱の根本的な責任者は米国だと考えている。イスラム過激派は9.11テロ事件で、米国に怒りを直接ぶちまけた。米国はその後、中東のテロリストを国外に封じ込めることに成功し、欧州と共に中東の「蜂の巣」を突こうとした。蜂は米国を刺せず、欧州を何度も刺している。マドリード、ロンドン、最近ではパリがそうだ。
太平洋のこちら側で、米国は南中国海に目をつけている。南中国海は米国から見て、中東や欧州より遠くに離れている。米国は「アジア太平洋リバランス」という長い竹竿を持ち、南中国海を蜂の巣として突こうとしている。