世界中が最近、トルコがロシアの軍機を撃墜した事件について議論している。観測筋の観点は、主に次の二つに分かれる。(1)ロシアが報復する可能性が高く、情勢が不安定になっている。(2)情勢は全体的に見て制御可能で、両国の激しい報復合戦がロシアとNATOの全面対抗に発展する可能性は極めて低い。
本件が大々的な事件にならず、最終的に両国だけの事件として終わると信じる人が多い。このような観点は、ロシアとNATOは互いに相手が気に食わないが、敵になりたくもないという現状から得られている。NATOの同盟国である米国にとって、ロシアは長期的な最大の戦略的脅威とはなり難い。ロシアとの対抗にのめり込み自国の実力を消耗し続けるという、米国の積極性は損なわれている。ロシアは同盟国が少なく、NATOと徹底対抗する能力がない。
しかしながらトルコの今回の「ビンタ」は力が強く、ロシア社会全体に恥をかかせた。プーチン大統領が何もしなければ、威権的な政治の基本的な論理に合致せず、その悪い結果を受け入れることはできない。ゆえにロシアとトルコは昨日、発言の調子をやや緩めたが、ロシアがある手段によりトルコに報復する可能性は依然として高い。
だがロシアが「反撃」したとしても、トルコに痛みを与え恥をかかせる程度で、痛手を負わせることはない。こうすればロシアは体裁を保ち、NATOは世界の軍事リーダーの姿勢を示すことができる。トルコは「先に得して後に損する」ことで、ロシアと引き分けになる。