ロシアがトルコに報復する具体的な手段については、トルコの軍機を撃墜する機会を探す、もしくはシリアおよびトルコ国内のクルド人の武装勢力を支持することが考えられる。後者の場合は調整が可能で、制御不能の暴発に陥ることはない。前者は空の駆け引きであり、トルコに対する「目には目を」だ。トルコの地上施設を攻撃するのとは大きく異なっている。
もちろん情勢には別の変化もありうる。例えば欧州の影響力ある勢力が直接調停に乗り出し、ロシアの顔を立て、トルコとの報復合戦を回避する可能性がある。西側がロシアとの関係をある程度改善し、制裁を緩め、撃墜の恥をかいたロシアの自制を「奨励」できれば、ロシアにとっては魅力的だ。
今はロシアと欧米の関係が最も緊張している時期ではない。西側はロシアのシリア国内のイスラム国攻撃に「私心」があると疑っているが、最近2ヶ月間のシリア問題はロシアと西側の距離を縮めた。フランスは世界の大国に対テロ連盟を構築させようと熱心になっている。ロシア機撃墜後、欧州の世論はトルコ一辺倒ではなく、ある種の余地が残されている可能性を示している。
しかしながらすべてのチャンスと手掛かりをつかみ、ロシア機撃墜を「災い」から「福」となすことができるかは、NATO、特に米国の真の態度にかかっている。彼らはロシアを極端に締め付けようとしていない。これはロシアに赤っ恥をかかせた場合と比べ、まったく異なる結果をもたらす。
撃墜の危機をいかに解決するかは、NATOとロシアがどれほどいがみ合っているか、最後の意思疎通力を持つか否かを探る鍵になる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年11月26日