中国は中東諸国との良好な関係を利用し、中東の混沌たる情勢の中で積極的な役割を演じる。現代化を共有する「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)で文明の和解を促進し、これを主旋律とすることで、戦略的陰謀により分割統治し、安全の脅威を弱めるという西側諸国の伝統的な地政学的概念を薄める。これは習近平国家主席が新年初の訪問先にサウジアラビア、イラン、エジプトを選び、中東諸国に対して発した非常に明瞭なシグナルだ。アラブ諸国の発展について、いくつかの問題を整理しておく必要がある。
まず、中東諸国のテロリズムはどのようにして形成されたのだろうか?石油が見つかり開発が始まると、中東諸国は英米を中心とする地域の衝突に巻き込まれた。特にイスラエル問題により、中東諸国は頻繁に武力衝突に陥っている。5回に渡る中東戦争により、中東とイスラエルの関係が緊張化し、発展の問題を巡る中東の意見が完全に分裂することになった。サウジアラビア、イラク、イラン、エジプトの発展の目標は完全に異なる。イラクのクウェート侵攻後、中東諸国の人々は国家の発展の方針を全面的に疑問視するようになった。これを受けイスラム国のような組織が国家統治の理念を掲げ、中東諸国で好評を博しているのに対し、世界のその他の国は、イスラム国をテロリズムの蔓延と理解している。中東諸国の発展の方針が不明瞭で、テロリズムが蔓延している。中国は国家の発展方針を明確にしており、上海協力機構、BRICS、G20で高い影響力を持つ。これによりアラブ諸国は、一帯一路という現代化を共有する概念を理解し、受け入れつつある。
次に、中国は中東問題において、どのような役割を演じることができるだろうか?中国は改革を始めてから、ロシアや米国と良好な関係を形成した。中米関係にはまだ問題が存在するが、米国はアジアにおける主な問題について、中国と相談する必要がある。ロシアとの関係については、上海協力機構、BRICS、G20、新開発銀行、アジアインフラ投資銀行などの組織を通じて協力することができる。中国が現在、カタール、サウジアラビア、イラン、エジプトなどの国から着手し、新たな平和的発展の関係を構築できれば、シリア問題で宗派の和解を促すことができる。されには国連の枠組み内で、中国を中心とする平和維持部隊を派遣できる。カタールやサウジアラビアも、全面的に行動に協力するだろう。
最後に、中国の一帯一路は中東の平和の歩みに介入する必要があるだろうか?中東諸国のシリアとイエメンは、世界で最も不安定な要素となっている。特にロシアと米国のシリアにおける対立により、サウジアラビア、イラン、イエメンなどの国の関係が複雑化している。さらに米国防総省は頻繁にイランを偵察している。先ほど10数人の海兵隊員がイランの海岸で逮捕されたが、イランは最終的に人質を解放した。今回のテロ対策の過程において、ロシアと米国はシリアで実質的な対立に陥っている。シリアはほぼ分裂したと言える。イエメンの内戦でも、イランとサウジアラビアの後押しが見られる。テロ対策によりアラブ諸国は分裂・分離・分割統治の状態に陥っている。文明的な和解を目指す中国が、中東において実質的な影響力を示す必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年1月22日