日本の会計年度は4月に始まり、多くの日本企業・機構の大規模な人事異動の時期となる。今年の驚きの人事異動のうち、最も注目を集めたのは一部の「辛口」キャスターの降板だ。
TBSの有名番組「NEWS23」は3月に改編を予定している。メインキャスターの膳場貴子が別番組に移り、人気アンカーの岸井成格も番組を降板することになる。またテレビ朝日の名物番組である「報道ステーション」の「看板男」である古舘伊知郎、NHKの人気番組「クローズアップ現代」の国谷裕子なども、新年度に降板する運命を迎えている。
分析を掘り下げると、この交替の裏側には、驚くべき共通点がある。まずは政治色が強い、注目を浴びる報道番組であり、日本のホットな問題の報道と議論に長けている。次に、交替となるキャスターは辛口で、政府批判で有名だ。日本の各テレビ局は、上述した決定は完全に番組の調整と発展の需要によるものと強調している。しかし各局の「辛口」の同時降板は、人々の憶測を呼んでいる。
日本のメディア専門家も、この特殊な「偶然」に注意しており、警戒を強めている。立教大学の砂川教授は、「視聴者として見ると、安倍政権の政策とやり方に批判的な態度を持つ人気キャスターの降板には、安倍政権が裏から操作した疑いがある」と指摘した。
客観的に見ると、この分析は誇張ではない。岸井成格、古舘伊知郎という「辛口」は、安保関連法案は安倍政権が強行推進する「奇形児」だと直言した。2人の人気と影響力を鑑み、安倍政権はこのようなコメントが辛辣なばかりか、耳に痛いと感じている。安倍首相は昨年末のテレビ番組で、メディアが安保関連法案に不利な意見ばかりを意図的に選択したと、憚ることなく発言した。
そればかりではない。自民党は東京の主流メディアに書面を送り、安保関連法案の「事実に基づく」報道を求めた。これはメディア側から、この「戦争法案」の成立を保証するためだ。
「辛口」の降板には、テレビ局がフリージャーナリストの代わりに社内のアナウンサーを使うという、もう一つの特徴がある。その代表格が、NHKの国谷裕子だ。これには分かりやすい理由がある。フリージャーナリストは社内制度の拘束を受けず、「辛口」を開こうとすれば黙らせることが困難だからだ。給与を支払う会社に従う社員を使えば、管理も自ずと便利になる。
安保関連法案が強行採決されてから、安倍政権は右傾化の道を「暴走」している。日本人も報道も、批判の声を上げ続けている。安倍政権は今夏、参院選を控えている。参院選は統一を目論む野党を打ち負かし、改憲というより大きな動作をするため重要だ。参院選を見据え、新年度前に裏でさまざまな手段を使い「辛口」を封じ、自分のために「甘口」を増やす。これが「辛口」の大降板の真相かもしれない。
直言をはばからない「辛口」がいなくなれば、日本の主流メディアの「社会の政治への監督」の効果が大幅に低下することだろう。これは日本のメディアのイメージを損ね、日増しにバランスを失う日本の政治を損ねることになる。その後、メディアに規制をかけようとする安倍政権の暴走が、さらにエスカレートすることが予想される。これに対しては警戒を維持する必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年2月5日