中国全国人民代表大会外事委員会の傅瑩・主任委員と中国南海研究院の呉士存・院長はこのほど、『中国新聞週刊』と米国『ナショナル・インタレスト』に、南中国海問題に関する共同署名記事を同時に発表した。新華網が伝えた。
この記事は、南中国海の情勢推移の過程で起こった多くの大小の事件を整理し、それらの事件間に想定されるつながりを明らかにし、問題の進展の脈絡を映し出し、南中国海問題に関心を持つ人々がその実質をより正しく知り・認識するのを助け、誤解の深まりと情勢の拡大を回避するため明確な認識を持つよう呼びかけるものである。主な内容は以下の通り。
南中国海問題は近年、中米関係の最重要トピックとなりつつある。両国は、外交と世論の場で互いに応酬し合い、軍事的な緊張の高まりや摩擦まで起こっている。中米間の競争と対立は現在、南中国海問題を通じて明らかとなっている。両国は戦略面から相手の意図を見極めようとしている。
南中国海情勢の緊張が始まったのは2009年からだ。それ以前も各種の摩擦はあったが、南中国海の情勢は全体としてはコントロール可能なものだった。情勢が複雑さを増した転換点は2009年に訪れた。「200海里を超えた大陸棚の限界」についての国連大陸棚限界委員会への情報提出期限(2009年5月13日)ともある程度関係している。米国のアジア太平洋戦略の調整も大きな刺激要素となっている。
中米両国の南中国海における軍事的摩擦は頻度を増している。2009年だけで、米国の軍艦と中国の船舶による偵察とそれに対する対抗措置で、少なくとも5件の対立と摩擦事件が起こっている。「インペッカブル事件」はその中で最も有名なものである。2010年に入り、米国の南中国海への政策は大きく転換され、関係国への偏った肩入れという形を取るようになった。