16日付ワシントン・ポスト紙は、中国駐米大使館の朱海権報道官からの書簡を掲載した。朱氏は書簡の中で、同紙が8日に掲載した社説「南中国海の危険な暗礁」の謝った言論を厳正に批判し、南中国海で領有権を主張していない米国が、同地域の「危険な暗礁」になるべきではないと警告した。
8日付ワシントン・ポストは社説の中で、「アジア太平洋リバランスを外交政策の支柱とするオバマ大統領は、任期内の最後の数ヶ月に、中国からの『運命の試練』を迎えることになりそうだ。中国はフィリピンのスービック湾から200キロしか離れていない、黄岩島の建設を検討中だ」と論じた。
朱氏は書簡の中で、「黄岩島は中国領であり、『他国から盗み取った』ものではない。一連の国際条約は、フィリピン領の西の境界線を、東経118度線としている。フィリピンの1935年の憲法も、これを確認している。中国の南中国海におけるすべての島礁は、黄岩島を含めて、すべて東経118度線から西に位置する」と指摘した。
朱氏は、ワシントン・ポストの社説が、中国が国際法に基づく隣国との係争解決を拒否していると批判したことについて、「中国はフィリピンが一方的に申し立てた仲裁を受け入れず、加わらないが、これは国際法に基づいている。中国はASEAN諸国に対して、南中国海問題のダブル・トラック・アプローチ(二元手法アプローチ)に基づく処理を提唱し、これに賛成している」と反論した。
ワシントン・ポストは社説の中で、オバマ政権が中国側の行動を阻止するため十分な措置を講じることができるかを疑問視し、「政府が中国による黄岩島の建設を阻止できなければ、米国の同盟国は同盟は不要という結論を導き出す可能性が高い」と論じた。
朱氏は書簡の中で、「米国と関連国の同盟関係は、中国の主権と合法的な権益を損ねる口実にならない。米国の南中国海における武力誇示を煽ることは非常に危険で、しかも逆効果にしかならない。これは一部の国から『空手形』と見なされ、挑発行為を助長する。南中国海問題を処理しようとする外交の努力を損ね、さらに緊張情勢をエスカレートさせるだろう」と斬り捨てた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年5月17日