中国の趙鑒華駐フィリピン大使は16日、ドゥテルテ氏が大統領選勝利後に初めて正式に会談した、外国人大使3人のうちの1人となった。ドゥテルテ氏は会談前、中国と直接対話し領土問題を解決する意向を示していた。趙大使は会談後、「双方は非常に良好な対話を行った」と取材陣に伝えた。雲南省東南アジア・南アジア研究院研究員の朱振明氏は、環球時報に対して、「ドゥテルテ氏が優先的に中国の大使と会談したことは、善意ある動きと言える。これは一時的な思いつきではなく、支持者の民意によるものだ。ASEANも彼に拍手するだろう」と述べた。ドゥテルテ氏は、自らジェットボートに乗り黄岩島に上陸すると発言したことがある。「域外国」の日本は、ドゥテルテ氏の対中関係への「不可測性」も、中比関係改善のチャンスになると、「慎重ながら楽観的」な予想をした。
中国対抗戦略を放棄か
中国社会科学院アジア太平洋・世界戦略研究院研究員の許利平氏は、「ドゥテルテ氏は勝利後に初めてメディアの前に姿を現し、対外関係について言及した。これは中比関係が軌道上に戻ったことを意味し、フィリピンの民意の主流を正確かつはっきりと表現したと言える」と分析した。
朱氏は、「ドゥテルテ氏はアキノ大統領と一線を画すためには、中国との関係を回復させる必要があることを理解している。中国との関係改善は、フィリピンにとってメリットばかりで、デメリットはない。ドゥテルテ氏による対中関係改善は予想通りで、これはどの大統領が就任してもやらなければならないことだ」と指摘した。
比ニュースメディア「Rappler」は15日、ドゥテルテ氏は非情に実務的な政治家であり、地政学の現実を熟知していると報じた。ジェットボートで南沙諸島に上陸し主権を宣言するとは、有権者へのリップサービスに過ぎない。ドゥテルテ氏は、中国と直接対話し、係争中の海域の共同開発計画を制定し、戦争を回避するという発言をしてきた。ドゥテルテ氏はアロヨ元大統領のような、中米間でバランスを維持し、どちらか側に肩入れしないという戦略を採用することが予想される。ドゥテルテ氏はアロヨ政権の高官を閣僚にしようとしている。これはドゥテルテ氏が、アキノ大統領の中国対抗戦略を放棄する可能性が高いことを意味している。