西太平洋地域は危険な地政学的駆け引きが展開される、ホットなエリアとなっている。最新の動向によると、日本の海上自衛隊は米印両海軍と6月中旬、沖縄周辺海域で合同演習を行う予定だ。日本政府筋によると、3カ国は艦隊の合同活動により、釣魚島を含む東中国海の一帯における中国の活動をけん制するという。
南中国海地域の係争は、中日の東中国海の係争の危険性を覆い隠している。米日印による「中国包囲」の軍事演習は、中日の争いを再び激化させる。注意すべきは、西太平洋地域で米国が主導し、日本などの同盟国が参加する軍事演習が増えていることだ。以前はどの国にも矛先が向けられていなかったが、現在は中国に対する公然たる武力誇示となっている。インドが加わったことは、意外なことではない。インドは米日の政治・軍事同盟に加わることに慎重な態度を持つが、いわゆる民主国であるインドと米日両国は、互いに歩み寄り利用してきた。特に米日両国は、中国対抗の同盟にインドを抱き込もうとしてきた。経済・貿易の競争、および中国に対する根深い地政学的懸念により、インドは地政学の面で米日に協力したがっている。
大国間には世界的な利益をめぐる争いが存在し、特定の地域で激しく駆け引きを展開する。これは国際関係の現実的な論理に合致する。中日の釣魚島の主権、東中国海の油田の権益をめぐる紛争は、どれほど歴史的なもつれや現実的な利益の衝突があっても、腰を下ろししっかり話し合う、もしくは係争を棚上げにすれば、対立を解消できるはずだ。日本政府が釣魚島を国有化する前、中日間の東中国海の係争は、制御可能な範囲内にあった。釣魚島の国有化により、米日の軍事同盟が強化された。安倍政権は政治的な独断専行と軍拡による、正常な国の道を歩んだ。
米国は日本をアジア太平洋リバランス戦略の先鋒にする必要があるため、日本政府による改憲を放任し、自衛隊に海外で戦争をする権力を与えている。東中国海の釣魚島から南中国海の諸島にかけて、情勢が悪化している。米日と東南アジア諸国は責任を中国に押し付けながら、強さ(あるいは覇権と言えようか)を見せつけている。米国は西太平洋の危険な情勢に主な責任を負い、日本は米国に追随する共謀者になり、他国は声を揃えて支持している。インドは機会主義に基づき、火中の栗を拾おうとしている。