ASEAN外相は25日、順調に共同声明を発表した。声明は南中国海仲裁案について一言も触れず、中国を公然と批判することもなかった。声明は何度も南中国海について言及したが、具体性のない原則的な論述だけだった。うち最も「鋭い」言葉は「(各国外相は)埋め立ておよび関連活動のエスカレートに対する一部の国の関心に注意した。関連活動は相互信頼と自信を損ね、地域情勢の緊張を激化させ、地域の平和・安全・安定を損ねる」だ。ベトナムやフィリピンにも関連活動があるため、これは中立的な表現と理解できる。多くの海外メディアも、このようなASEAN外相共同声明は「中国の外交の勝利」と見ている。
中国・ASEAN外相会議が同日行われた。環球時報の調べによると、会議の雰囲気は良好で、双方は「南中国海各方行為宣言」の全面的かつ効果的な実施に関する共同声明を発表した。この声明はさらに、南中国海問題は仲裁前の正常な状態に戻りつつあるとした。
この2つの声明は、ASEANの南中国海問題における実務的な態度を反映している。正確に言えば、これは中国の勝利というよりは、ASEAN外相会議を利用し中国に圧力をかけようという狙いが失敗に終わったと言うべきだろうか。
今回のASEAN外相会議は、いわゆる南中国海の「仲裁結果」が発表された後に初めて開かれた、ASEANの一連の外相会議だ。米日はこの会議により、ASEANの仲裁に対する集団的支持を促すことで、中国にかつてない外交の圧力をかけようとしていた。しかしこの願いは、東アジアの外交の現実にまったく対応できなかった。
フィリピンは今回譲歩し、仲裁案に言及しないASEAN外相共同声明の発表に同意した。これは2012年の時の態度よりも柔軟だ。同年のASEAN外相会議は、フィリピンが南中国海の内容を盛り込むことを主張し反対されたため、共同声明を発表せず閉幕となった。