米通商代表部(USTR)代表のマイケル・フロマン氏は、大統領選挙の論戦に強く介入し、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の早期承認を議会に求めた。米英メディアが伝えた。
フロマン氏はペルーの首都リマで、クチンスキー大統領の就任式に出席した際にインタビューに応じ、このように発言した。ペルーもTPP加盟国だ。フロマン氏は「大統領選挙を行う米国は、グローバル化と自由貿易が雇用機会を脅かすという懸念により、TPPを中途半端に終わらせるべきではない。そうすれば貿易グローバル化の砦の鍵を中国に渡すことになる」と話した。
フロマン氏は個人的に、TPPが国会で承認されることを、慎重にではあるが楽観視している。フロマン氏は同時に「国会がTPPを承認するかは、世界のルールを今後誰が決めるかという重要な問題に関わる。TPP協定には流産の恐れがあり、しかも中国が中心となり積極的に働きかけるアジア太平洋全体の地域包括的経済連携(RCEP)が、全力で加速されている。我々は(アジア太平洋)地域と世界貿易体制の中で根本的な指導的地位を確立するまであと一歩まで来ているが、この一歩を詰められなければ中国に譲り渡すことになる。最後の重要段階において、国会が砦の鍵を中国の手に委ねるとは思えない」と警告した。
米国が中心となり力強く推進する、多くのアナリストから経済面で中国を「排斥」「方位」するとされているTPP協定は現在、2016年の米大統領選の物議を醸す話題となっている。共和党候補のトランプ氏と民主党候補のヒラリー氏は選挙中、TPPへの反対姿勢を明らかにし、「米国人の雇用機会を脅かす」と批判した。
この数日に渡り行われた共和党と民主党の会議の会場内外では、TPP撤回を求める抗議のプラカードが見られた。フロマン氏は2人の候補者を名指ししなかったが、「米国政府が苦しい交渉により手にした貿易協定の成果を、米国の所得格差、伸び悩む賃金、失業率上昇のスケープゴートにしてはならない」と呼びかけた。間もなくホワイトハウスでの8年間の勤務を終えるオバマ大統領は、任期満了前に議会がTPPを承認することに期待している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年8月2日