「アジア太平洋へのリバランス」戦略は行き詰まりつつあるか

「アジア太平洋へのリバランス」戦略は行き詰まりつつあるか。 オバマ大統領は、党内のこの旧敵を決して好んではいないが、トランプが大統領に選ばれれば、任期中に自身が進めてきた「アジア太平洋へのリバランス」戦略は失敗し、TPPも頓挫する可能性がある…

タグ: アジア太平洋 ウクライナ 共通認識

発信時間: 2016-09-29 14:53:15 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

「アジア太平洋へのリバランス」戦略はあとどのくらい持つのだろうか。任期最後の時期を迎えたオバマ大統領は、系統的な困難に直面している。(文:張敬偉・察哈爾学会研究員)

国内の大統領選では、民主党のヒラリー候補が、献金問題からメール問題、さらには911追悼式典で明らかとなった体調問題まで、一連の問題で苦戦を強いられている。オバマ大統領は、党内のこの旧敵を決して好んではいないが、トランプが大統領に選ばれれば、任期中に自身が進めてきた「アジア太平洋へのリバランス」戦略は失敗し、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)も頓挫する可能性がある。もしこの二つを遺産として残せなければ、米国のアジア太平洋における指導的地位を維持するという、オバマ大統領が苦心して取り組んできた戦略も完全に失敗することとなる。

世界に目を向けると、欧州のウクライナ危機は米国を、「冷戦」ではないが「冷戦」より厳しい苦境に陥れ、シリア危機は米露の構造的矛盾をいっそう深めている。中東での反テロでも、米国の指導力は減退している。米国とイランとの関係は修復されたが、サウジアラビアやイスラエルなどの伝統的な中東の同盟国を怒らせた。トルコで軍事クーデター未遂が起こると、米国とトルコの関係も悪化し始めた。米国が伝統的な戦略的利益を持つ地域で、オバマ政権は大きな混乱を招いている。

アジアへのリバランスでは、閉幕したばかりのラオスでの一連の東アジアサミットまで、アジア諸国の力を借りて中国を牽制しようという米国の戦略は成功しているように見える。東北アジアでは、米日韓の政治関係や軍事同盟が強化され、中日の釣魚島紛争と中日韓の歴史論争は、東北アジアにおける米国の審判者としての役割を際立たせている。東南アジアの10カ国、とりわけフィリピンとベトナムの両国は、南中国海の島嶼をめぐる中国との争いをこれまでになく激化させている。

米国の「アジア太平洋へのリバランス」の「成功」は、中国の戦略的な実力が高まっていることへの隣国の不安によるものであると同時に、米国に対する戦略的な信頼に基づくものと考えられる。だが国際関係は結局は利益関係であり、中国に対する隣国の恐れがなくなるか減るかすれば、米国に対する信頼は失われ、アジア太平洋の局面は変化さらんは逆転が発生する可能性もある。

現実的に考えて、ポストオバマ時代の「アジア太平洋へのリバランス」戦略は、変数に直面することとなる。TPPには、両党の候補者がいずれも反対している。オバマ大統領は、ラオスでの一連の東アジアサミットで、米国は「アジア太平洋へのリバランス」戦略を継続すると強調したが、参加した各国はすでにこれを信じられなくなってる。TPPの不確定性はとりわけ、アジア太平洋諸国を失望させた。オバマ時代の米国が掲げたアジア太平洋の物語は、そのピークを過ぎて人気を失いつつあり、これは誰もとどめることのでいない時代の大勢となっている。オバマ大統領の理想主義は現実主義の悲哀に直面している。オバマ大統領の歴史は、「心比天高,命比紙薄」(志は天より高いが、命は紙より薄い)という宿命を背負っているかのようだ。

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