一連の東アジアサミットでは、ASEANは南中国海の仲裁裁判については触れず、中国と一連の共通認識を達成した。中米と関連国家の駆け引きを経て、アジアの隣国は、中国に対する不安を解消できたとは言えないかもしれないが、米国の政権交代と経済戦略の不確定性を前に、中国に理性的に向き合い、中国との建設的な関係を再構築しようとしている。
東南アジア諸国は、中米二強の間で、新たな戦略の調整と均衡化をはかっている。中国に共同で対処するための仲間の輪がオバマ時代に形成されたとすれば、東南アジア諸国は現在、米国と距離を保ち、中国との緊張関係を緩和しようとはかっていると言える。これこそがアジア太平洋の本当の「リバランス」である。アジア太平洋諸国は、中国と米国の間でどちらかを選ぶのではなく、中米二強のどちらとも良好な関係を維持するべきである。客観的に言って、これこそがアジア太平洋国家の利益に合致し、中国と米国の新型大国関係の構築に利するものとなる。
アジア太平洋地域において、米国は依然として、ほかの国ではあり得ない戦略的な影響力を誇っている。オバマ時代にせよ、トランプまたはヒラリーの時代にせよ、中国は、アジア太平洋地域における米国の指導力と影響力に取って代わることはできない。とりわけ米国の忠実な同盟国である日本は、米国を引き続き奨励さらにはそそのかし、西太平洋地域での中国の牽制をはかるだろう。朝鮮核危機の存在は、東北アジアの日韓両国の米国に対する依存をいっそう高めている。
確実に言えるのは、オバマ大統領の「アジア太平洋へのリバランス」戦略は、予期していた目的を達することができなかったということだ。TPPに象徴される、地域の経済貿易ルールの制定という米国の努力も、試練に直面している。
アジア太平洋のジオポリティクス・ジオエコノミクス戦略は、新たなカードの切り直しの時期を迎えている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年9月29日