ペンス米副大統領は10月初めにワシントンで演説した際、中国は南中国海を「軍事化」しており、「航行の自由作戦」実施中の米軍艦に対して「無謀な嫌がらせ」をしたと主張し、米国が「譲歩することはあり得ない」と言い放った。事実をねじ曲げて逆ねじを食わすこのような発言によって、世界が平和になる事を恐れ、引き続き悪知恵を絞って南中国海で邪魔をし、もめ事を引き起こす米側の意図が浮き彫りになった。(文:華益文・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
(1)「軍事化」のレッテルを無闇に貼る
中国は南中国海諸島及びその周辺海域に対して争う余地のない主権を有する。中国が自らの領土で平和的建設活動を行うのは、必要な防御施設の配置を含めて、国際法が主権国家に与えられた自己保存権及び自衛権の行使であり、「軍事化」とは無関係だ。
どうしても中国に「軍事化」のレッテルを貼ろうとする米国は、反省し自問すべきだ。「近年米国が頻繁に軍艦や軍用機を派遣して中国の南中国海の島や礁に接近し、挑発と偵察を行い、さらには中国の西沙(英語名パラセル)諸島領海を侵犯しているのは、『軍事化』に当たらないのか?」「米国がアジア太平洋地域への先進的艦艇・航空機の配備増加を計画し、同盟国を誘い込んで南中国海でターゲットをしぼった合同『軍事演習』、『巡航』を実施するのは、『軍事化』に当たらないのか?」と。
(2)「航行の自由」は単なる名目
南中国海地域の航行と上空飛行の自由には全く問題が存在しない。毎年、各国の各種船舶10万隻余りが南中国海を安全かつ順調に航行しているうえ、中国の南沙(英語名スプラトリー)諸島と西沙諸島は国際航路から遠く離れている。だが米側はこれを航行の自由と見ない。米側のいわゆる「航行の自由作戦」は、自らの一方的な国際法解釈に基づき、軍艦を派遣して、他国のいわゆる「行き過ぎた」海上領土主権及び海洋権益の主張と行使に挑戦するものだ。米軍艦が南中国海の広大な国際航路は通らずに、中国の駐屯する南中国海の島・礁の12カイリ内に度々進入して「航行の自由」を表明するのは、実際には魂胆があるのだ。
(3)米国の覇権こそが魂胆
米国は地政学的観点から南中国海問題に対処しており、中国の台頭を米国の覇権に対する潜在的、さらには現実的脅威とする見方を強めている。米側から見ると、中国は南中国海における権益保護の強化と島・礁建設活動によって、この地域で優位な地位を得る。これは米国の覇権に対する挑戦だ。米側は南中国海問題を足がかりに中国とASEAN諸国との関係に水を差し、中国のイメージに泥を塗り、中国の影響力を牽制し、南中国海における中国のプレゼンスを弱めるつもりだ。
(4)南中国海情勢が穏やかになることを米国は決して望まない
過去2年間で南中国海情勢が著しく緩和されたのは誰の目にも明らかだ。南中国海をめぐる争いは直接の当事国間の対話と協議による解決という軌道に再び乗った。中国とフィリピンは南中国海問題に関する二国間協議制度を正式に立ち上げ、これを通じて意見の相違を適切に処理している。中国とASEAN諸国は「南中国海における行動規範(COC)」のたたき台となる文書の一本化について一致した。中国を含む南中国海沿岸国は南中国海情勢の前向きな好転を十分に認め評価している。南中国海情勢が改善されたことで、中国とASEANは力を集中して実務協力を推進し、より緊密な運命共同体を築くことができるようになった。
だが米国は中国とASEANが共に努力した重要な成果に賛同しようとせず、ネガティブなメッセージを対外発信してすらいる。米国としては、南中国海情勢が好転すると、離間を煽る余地が狭まるのだ。南中国海の領有権主張国を始めとするASEANの協力と先陣を失った米国は、「中立」の仮面を脱ぎ捨てて、舞台裏から表舞台に飛び出てくるしかなかった。
要するに、南中国海をめぐる中米の駆け引きにおいて、中国は主権を守っているのであり、主権侵害は容認できない。米国は覇権を追求しているのであり、南中国海の主権を守る中国の行動を米国の覇権に対する挑戦と読み誤っている。中国が主権に関わる問題でいかなる後ずさりをする事もあり得ない。中国側にはASEAN諸国と共に南中国海地域の安定を維持する自信がある。「ゼロサム」心理で中国を敵と見なす米国は、結局は自らが南中国海をかき乱しているイメージを作り出すだけであり、得るよりも失うものの方が大きいのだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年10月19日