2018年、中国は周辺国との関係改善の全カバーを実現し、中国の周辺外交はまた新たな段階へ上った。最大の隣国であるロシアとの関係が引き続き歴史的高水準を保ち、中央アジア諸国との関係が全面的に高まった以外に、中国外交は北東アジア、東南アジア、南アジアの3方面でも重大なブレークスルー的進展を得た。(文:呉正龍・前駐クロアチア大使。北京日報掲載)
■中日関係が正常な軌道に戻った
10月に日本の安倍晋三首相が訪中し、中日首脳会談は成功を収めた。双方は重要な共通認識にいたり、複数の協力協定に署名した。これは両国関係が健全な発展の軌道に戻ったことを示すものだ。
安倍首相の対中政策転換には主な原因が3つある。
第1に、日米同盟の不確定性が増した。トランプ米大統領が日本側の制止を顧みずに環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から離脱したこと、貿易協定交渉の開始を日本に無理矢理迫ったこと、国家安全保障を理由に日本製鉄鋼・アルミニウム製品に追加関税を課したこと、そして頻繁な「国際組織から脱退」等があった。米国の孤立主義と保護主義によって、日本は日米関係に懸念と不安を抱くようになった。日本は中日関係を改善することで、日米関係の不確定性によるリスクを回避したいと考えた。
第2に、日本は中国経済の成長に相乗りしたい。中国は世界第2の経済大国であり、まもなく世界最大の消費者市場になる。「一帯一路」イニシアティブも中日の実業界に新たな協力プラットフォームを提供した。日本は対中関係を改善することで、日本経済成長の新たな原動力を開拓したいと考えた。
第3に、安倍首相の対中対立政策は通用しなかった。この政策は日本の利益にならなかっただけでなく、中国の発展と強大化を妨げることもできなかった。引っ越すことのできない隣国である両国は平和共存、世々代々の友好、互恵協力、共同発展によってのみ、共同繁栄を実現できる。
中国は中日関係の発展を非常に重視している。中日関係は幾度も困難を経験したが、中国側のこの基本方針には終始変更がない。今年5月に李克強総理が訪日に成功した。中日は各分野で協力と交流を強化した。未来を展望すると、中日関係は発展の新たな段階を迎える。
■中国が南中国海情勢の主導権を掌握した
中国が南中国海情勢の主導権を掌握した。南中国海情勢は引き続き安定化と好転の勢いを保っているうえ、今後も落ち着いて前進する。
今年は注目されている出来事が3つあった。(1)中国とASEANは「南中国海における行動規範」(COC)の協議文書案を一本化した。また、3年以内に協議を完了する。(2)中国はASEANと初の合同軍事演習を実施した。(3)中国とフィリピンは海底石油・ガス田の合同探査と開発協力について共通認識にいたった。
この3つの出来事には重要な意義がある。(1)南中国海において守るべき一線を定め、南中国海を平和の海にするための制度的保障を提供した(2)中国とASEANの戦略面の相互信頼をはっきりと示した(3)「係争を棚上げして、共同開発」に関する鄧小平氏の思想を実践に移し、南中国海を協力の海にするための環境をつくり、さらに南中国海ひいては東南アジア地域全体の平和・安定・発展のために基礎を固めた。
中国には南中国海情勢が引き続き平和と発展の方向に前進し続ける後押しをし、南中国海を平和の海、友情の海、協力の海にする自信と能力と手段がある。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年12月26日