懸案その三 英国のEU離脱はどのような幕引きを迎えるか
英国のEU離脱は依然として先行き不透明だ。この問題により英国の内政・外交が迷走し、EUも厳しい課題に直面している。
EU離脱は2019年3月29日に最後の期限を迎える。EU離脱の今後には、依然として多くの可能性が存在する。EU離脱合意の草案が承認されれば、英国は既定の流れに従いEUから離脱する。草案が否決されれば、英国とEUのこれまでの協議の成果が水の泡になる。英国は合意なくしてEUから離脱することになる。他にも、英国とEUが離脱合意案について交渉を再開する、英国でEU離脱の是非を問う2回目の国民投票を行う、英国が離脱申請を一方的に撤回するといった選択肢も残されているが、可能性は低い。
中国国際問題研究院欧州研究所長の崔洪建氏は「EU離脱問題をめぐり、各国の駆け引きが不確実性をもたらす。しかし各国は最終的に合意に至り、最悪の結果を回避するだろう」と予想した。
懸案その四 欧州の混乱はエスカレートするか
国民生活、移民、ポピュリズムなど数多くの難題が山積しているが、欧州はいかに対応するのだろうか。
2018年末にフランスで勃発し、オランダやベルギーなどに広がっている「黄色いベスト運動」を見ると、欧州の一部の国の下層・中層の不安と不満が一定の程度まで蓄積されていることが分かる。これらの国の安定が試練を迎えている。
雇用問題、所得の伸び悩み、社会保障費の削減、物価上昇など数多くの要素の総合的な影響で、欧州の一般人の生活が日増しに苦しくなっている。また欧州の関連諸国の政府には、実質的な改革を推進する能力も動機もなく、ポピュリズムの勢力のさらなる台頭を許している。この状況下、小さな火種(フランスのガソリン税の小幅引き上げ)であっても、大火災を引き起こす可能性がある。
崔氏は「混乱によって欧州はどこに向かうか、右寄りを続けるのか、極端に右傾化するのか、あるいは安定的な状態を維持するのか。これが欧州の懸案になっている」と指摘した。