ドイツのメルケル首相は11日、EUによる「欧州共通の空母」の共同開発を支持すると表明し、欧州は運命を自らの手で握らなければならないとした。これはフランスのマクロン大統領が「欧州軍」を保有し、米国に依存しない自主防衛能力を建設すべきと呼びかけたことに対する直接的な反応だ。ドイツとフランスは現在、欧州の次世代戦闘機を共同開発している。EUは「欧州の空母」の建造を推進することで、世界が大きく変化する時代にEUの安全面の力を強化する可能性が高い。情報によると、ドイツ初となる空母計画の具体的な内容が近日中に発表される見通しだ。
歴史は新たな段階に入ろうとしている。第二次大戦後、西ドイツの政治家は軍事力を維持する唯一の目標は自衛と主張した。隣国も真剣に懺悔し、悔い改めたドイツに安心している。ところが米軍が西欧に駐留し、ソ連に対抗しドイツをけん制することで、西欧諸国も安心感を手にした。ところが冷戦が終結すると、緩慢だが重要な変化が生じた。
ドイツの同盟国、特に米国は何度もドイツに対して、より多くの責任を担い、より重い負担を背負うよう呼びかけている。米国は21世紀に入ると重心をアジア太平洋に移し、欧州における駐留規模を縮小した。特にトランプ大統領が冷戦時代の核条約から離脱し、NATOと距離を置くと何度も表明したことで、欧州は理論上、大国の中距離ミサイルの脅威に挟まれるようになった。
ロシアと東欧の関係の緊張化、中東の衝突により多くの移民が欧州に殺到し、世界でナショナリズムが猛威を振るっている。フランスとドイツは不安になり、トラブルを未然に防ぐ必要が出ている。英国のEU離脱により、EUの共同防衛政策の障害がなくなり、EU諸国は防衛政策の見直しを迫られた。フランスとドイツという欧州軍建設の力強い推進者が、より多くの行動の自由を手にした。
ドイツの軍事行動は今後長期間に渡り、抗議と公憤、それからドイツ軍国主義の歴史問題に対する追及を招くことになる。しかし大きな不確実性が存在するこの時代において、歴史はもはや未来を指し示すことができず、過去の影は薄れつつある。ドイツの軍事面の一挙手一投足は、欧州で強い猜疑心と恐怖を引き起こしていない。