当然ながらドイツは軍事大国、軍事任務を遂行できる大国からはかけ離れている。第二次大戦の大きな破壊による歴史の傷、それから戦後に無数のドイツ人が「父の世代の不在」という環境で育ったことによる心の傷により、ドイツ人は現在も軍事行動に興味を抱きにくくなっている。ドイツが自国やNATO以外に軍隊を派遣することへの理解度は低い。
また、ドイツ軍の兵士の素養も低い。ドイツ軍は公務員の軍隊と揶揄されている。公務員のように休みを取るだけでなく、軍服もかつての近衛軍というよりはバスの運転手のようだ。しかも近年の軍事演習ではイタリアやポーランドなどに連戦連敗中で、人々を驚かせている。ドイツ軍の任務遂行能力も低い。
またドイツの国防予算はEUが主張するGDPの2%を大きく下回り、1.2%のみとなっている。これにより軍備建設にばらつきが生じ、一部の装備品が低水準になっている。NATOの2014年の演習期間中、ドイツ国防軍の戦車には機関銃がなく、司令官は箒の柄を黒塗りにして代用した。2015年にはC-160輸送機43機のうち使用可能なものは24機のみで、しかもそのすべてが50年以上使用されていた。また欧州軍を建設するという夢と現実の間には大きな溝があり、欧州諸国は防衛問題で大きな食い違いを残している。モゲリーニEU外務・安全保障政策上級代表は、EUが軍事同盟に変わることは永遠にないと表明した。
しかし物事を取りまとめる高い才能、工業の基礎及び経済力により、ドイツが武装勢力としての正常な地位を取り戻すのは決して難しいことではない。欧州の協力を求めるならばなおさらだ。西半球で最も重要な国の一つ、軍事力が台頭するドイツは現在、世界の戦略的構造に回帰しようとしている。(筆者・趙瑞琦 中国伝媒大学マスメディア政治研究所所長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年3月18日