◆残された溝
各国は多国間枠組み内で各国の最大の共通点を模索しようと努力したが、サミットの宣言には「保護貿易主義に反対」という表現が盛り込まれなかった。今回の大阪サミットの会期中、各国の苦しい協議と協調を経て採択された宣言は、「自由で公平で差別なき貿易体制を維持し発展させる」という表現に留まった。
これについて一部メディアは安心すると同時に、懸念を表明した。日本の学者と経済学者は、貿易摩擦が短期間内に収束に向かうことはなく、長期的な問題になると判断した。
日本メディアはこれについて、決裂は不可避であり、摩擦はなおも続くと論じた。
野村総合研究所の木内登英研究員は「今回のG20サミットが直面した最大の課題は、世界経済が示している変化と異常にいかに対応するかだ。世界経済の安定を脅かし、多国間自由貿易体制を揺るがす最大の要因は、米国の保護主義と米国による貿易戦争だ。日本はG20の議長国として、多国間の協議と自由貿易の重要性を強調しようとした」と述べた。
「保護貿易主義に反対」という表現のほかに食い違いが大きかったのは、気候変動問題だ。温暖化に対応する「パリ協定」も一致した姿勢を示さず、この議題をめぐり「G19+1」という局面を維持した。締約19カ国が内容の履行を再確認し、米国が「離脱」を再確認した。
◆開放の道を貫く中国
中国は今回のサミットで▽各国の共通認識を形成し、多国間主義を支持する揺るぎない態度を示す▽開放型の世界経済を揺るぎなき姿勢で支持し、世界経済の前進の方向を示す▽世界経済ガバナンスの改善に中国の知恵で貢献する▽団結と協力を促進し、広範なパートナーシップネットワークを構築する――という4つの目標を達成した。