数10年前の米核実験でマーシャル諸島の放射線量は福島以上

数10年前の米核実験でマーシャル諸島の放射線量は福島以上。数10年前に米国が大々的に実施した核実験が、太平洋中部のマーシャル諸島に終わりなき災禍をもたらしているとの報道が国際社会の注目を集めている…

タグ:核実験 マーシャル諸島 放射能汚染物質

発信時間:2020-01-08 17:18:57 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

米紙ロサンゼルス・タイムズは長編調査記事「米国はいかにしてマーシャル諸島を裏切り、次の核による惨事に火を付けたのか」を掲載した。

数10年前に米国が大々的に実施した核実験が、太平洋中部のマーシャル諸島に終わりなき災禍をもたらしているとの報道が国際社会の注目を集めている。米紙ロサンゼルス・タイムズによると、1946年から1958年までの間に米国はマーシャル諸島で大量の核実験を行なったうえ、放射能に関する重要情報を隠してきた。当時放射能汚染物質を埋めた「石棺」は気候変動に伴い、すでにひび割れが生じており、汚染物質流出の危険性が高まっている。マーシャル諸島政府は過去何回も米国と交渉して支援を求めたが、拒絶された。

専門家は人民網の取材に「マーシャル諸島の住民にとって、米国による大量の核実験が残した潜在的危険は軽視できないものだ。国際法理・道義上も、経済・技術上も、米国にはかつて実施した核実験の責任を負う義務がある。もしこの『訴訟』に公訴期間があるのなら、それは無限であるはずだ」と指摘した。

■米国は核実験を67回実施 汚染は数百年続く恐れ

マーシャル諸島共和国は太平洋中部に位置する、大小1200の島嶼からなる島国だ。1947年に国連によって米国の信託統治領となり、1986年にマーシャル諸島共和国として独立した。北西部のビキニ環礁とエニウェトク環礁は最も広いため、米国の核実験場に選ばれた。1946年に米国はビキニ環礁に入り、住民を銃砲で脅して200キロ離れた島嶼へ移送したが、核実験の意図は告げなかった。

米メディアによると、1946年から1958年までの間に、米国はマーシャル諸島で核実験を計67回実施。爆発は、いくつかの島々を直接的に消失させ、多くの人々が故郷を追われた。放射能にさらされた島民には脱毛、嘔吐など深刻な被爆症状が生じ、周辺の島々の住民数10人が短い間に癌や白血病で命を落とした。

核実験終了後、米国は放射能汚染物質を埋め、コンクリートの構造物で密封した。ロサンゼルス・タイムズの調査報道によると、米側はかつてマーシャル諸島で生物兵器の実験も行なったほか、ネバダ州の核実験場で放射性物質に汚染された土壌130トン以上をここに廃棄した。

2019年7月にコロンビア大学のプロジェクトチームは、マーシャル諸島の一部島嶼で放射線量が上昇していることを確認。チェルノブイリや福島の放射性物質漏洩地区近辺の土壌よりも高かった。

専門家は、こうした放射線の人体への影響にはランダム性があるが、現地の住民にとって潜在的危険性は軽視できないと指摘する。

「核爆発によるエネルギー放射は巨大であり、核実験が現地の住民や生物に与える危害は主に瞬時の光熱放射、衝撃波、粒子放射、及びその後長く続く放射性物質による汚染だ」と、中国科学院核エネルギー安全技術研究所の呉宜燦所長は指摘。

呉氏によると、米国の科学者の計算では、1946年から1958年の間にマーシャル諸島で実施された67回の核実験のうち、最大の水爆はTNT換算で広島型原爆の1000倍以上の15メガトンにも達した。コロンビア大学が今年7月に米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した研究によると、マーシャル諸島での核実験で生じたクレーターでは、プルトニウム(239,240)、アメリシウム241、ビスマス207の放射線量が自然状態より数スケール高く、長寿命の放射性核種による汚染は数世紀続く恐れがある。

■責任逃れを繰り返す米政府

過去数10年間、マーシャル諸島の住民は放射能汚染物質埋立て場への警戒心と、エニウェトク環礁の住民へのその潜在的脅威を口にし続けてきた。彼らは現地の礁湖で魚を捕り、環礁の島でヤシなどの果物を摘んでいる。だが、マーシャル諸島の生態と住民にもたらした甚大な害について米国は終始無関心で、「埋立て場はマーシャル諸島に位置する以上、現地政府が責任を負うべきだ」と主張してきた。

1988年に国際司法裁判所がマーシャル諸島に23億ドルを支払う判決を米国に言い渡したが、米国の議会と裁判所はこれを拒絶した。ロサンゼルス・タイムズの報じた証拠文書によると、米国は400万ドルしか支払わなかった。

米国は「ルールに基づく」ことをいつも強調する。呉氏は「米国がマーシャル諸島で一連の核実験を実施したのは『包括的核実験禁止条約』の署名前ではあるが、それによって生じた放射能汚染、現地の住民と環境に与えた影響は誰の目にも明らかだ。『原子力の安全に関する条約』(1994年)も『使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約』(1997年)も、放射能汚染の最終処理の責任は汚染者が負うべきであることを定めている。両条約は主に民生用原子力施設についてのものだが、その精神と原則はマーシャル諸島の状況に同様に適用されるはずだ」と指摘した。

清華大学放射能防護弁公室の朱立常務副主任は人民網の取材に「正常な状況では、実験地区に人がいることを明らかに知りながらもなお同様の核実験をするのなら、その性質において日本の広島と長崎への原爆投下と何の違いもない」と指摘。

「米国は経済上も技術上も、かつて実施した核実験の責任を負う義務がある。もし公訴期間があるのなら、それは無限であるはずだ。その島に何であれ問題があれば、米国には必要な経済支援を行なう義務がある。米国には技術力も経済力もある。重視しているか、重視していないかというだけだ」とした。

最近、米議会はマーシャル諸島の埋立て場の状況について調査を実施し、今年6月中旬までに報告を提出するようエネルギー省に求めた。米国が調査再開を発表するのは、マーシャル諸島との「自由連合盟約」の更新を発表した後になると米メディアは分析する。自由連合盟約に基づき、米側はマーシャル諸島政府に資金を提供し、住民による米国への自由な出入りを求める。マーシャル諸島側は米国に環礁への戦略的軍事基地の建設を認める。自由連合盟約は2023年に更新問題に直面する。

長年引き延ばした末、今になって突然「良心に目覚めて」調査を実施する。米国は一体マーシャル諸島に残した核爆発クレーターに対して責任を負おうとしているのか、それとも自国の利益のために引き続きマーシャル諸島に「クレーターを掘ろう」としているのか?米メディアは明確な結論を示していない。(編集NA)

「人民網日本語版」2020年1月8日


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