新型コロナウイルス肺炎と戦う重要な時期に、習近平中共中央総書記(国家主席、中央軍事委員会主席)が10日、湖北省武漢市の感染対策活動を視察した。今回の視察からは、次の3つのシグナルを読み取れるとの見方がある。
(一)現地の感染対策情勢が積極的に好転している。重症者を集中的に収容・治療する主要医療機関の火神山医院は、今回の感染対策の「前線中の前線」で、習総書記の最初の視察先になった。
習総書記は視察中、「苦しい取り組みを経て、湖北省と武漢市の感染対策情勢には積極的な好転の変化が生じており、段階的な重要な成果が得られた」と述べた。これは再び中国の感染対策の積極的なシグナルを発したとの見方がある。
中央党校(国家行政学院)の戴焔軍教授は「中国の最高指導者、感染対策の総司令官が感染対策中心地の最前線を視察したことは、現在の感染対策情勢が段階的な勝利と重要な成果を手にしたことを示した」と述べた。
国家衛生健康委員会が10日に発表したデータによると、前日の中国全土の新規感染者は19人だった。うち湖北省は17人、湖北省以外は2人で、いずれも海外からの輸入だった。
南開大学周恩来政府管理学院の常健教授は「指導者による視察の最初の目的地の選択は、重点を示すことが多い。火神山医院の収容・治療モデルは、中国のやり方が効果的であることを示した。2週間もたたないうちに火神山医院を建設し、中国の制度の有効性を示した」と述べた。
(二)予防への警戒維持が次の重点であることを明確にした。習総書記は視察中、感染対策任務は依然として極めて困難だが、そのような時こそ冷静さを保つべきだと指摘した。「麻痺せず、戦いを厭わず、気を緩めない」
戴氏は「百里を行く者は九十里を半ばとする。1カ月以上の奮戦を経て、各方面が疲労し、気の緩みや幸運を願い待つ心理が生まれやすい。しかし感染状況の不確実性により、気を緩めれば一連の新たな問題が生じうる。例えば先ほど感染者の輸入が急に生じたが、これは予想されていなかったことだ。そのためさらに高度な警戒を維持し、厳しく管理し、生じうる各種危険に備えるべきだ」と話した。
習総書記は視察の中で、感染症狙撃戦に打ち勝つ上で、重点となるのは「防」であると強調した。そのうち重要なのはコミュニティの感染対策との見方がある。
習総書記は視察の中で、湖北省や武漢市などの感染状況が深刻な地域の人々は長期的な自己隔離で不満もあるだろうが、これについては理解し寛容になり、引き続き各方面の取り組みを強化しなければならないと強調した。「国民生活が安定すれば、人心と社会も安定する」
(三)条件を満たした上での操業再開が強調された。習総書記は現地視察終了後に会議を開き、感染対策活動の報告に耳を傾け、次の感染対策活動について手配し直した。
習総書記は、感染対策の強化を前提としケースバイケースで対応し、地域別・クラス別、種類別・時間別の、条件を満たした上での操業再開を適時開始すると述べた。
これまで中国各地は操業再開の「早送りボタン」を押していた。湖北省及び武漢市の操業再開の手配が今回の習総書記の視察の重点となった。中国現代国際関係研究院世界経済研究所元所長の陳鳳英氏は、「現地の感染対策情勢の好転に伴い、中央政府は状況に応じた、条件を満たした上での操業再開を明確に打ち出した」と述べた。
陳氏は「地域別・クラス別、種類別・時間別の操業再開は、湖北省にとって特に必要かつタイムリーな手段だ。湖北省は農業大省であり、操業再開の進捗は早稲、果物、野菜などの農産物に極めて大きな影響を及ぼす」と指摘した。
湖北省と武漢市の操業再開を掲げたことは、感染症が蔓延する世界に自信をもたらしたとの見方もある。
陳氏は「感染症により、世界経済には悲観ムードが漂っている。しかし中国の厳しい状況だった武漢市と湖北省が立ち直ったのだから、世界が立ち直れないわけがない。これは時間の問題に過ぎない」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年3月11日