新型コロナウイルの感染対策で、すでに1カ月以上続いている自宅での自主隔離。それを受け、いま中国でオンラインゲームやライブ動画、ネットでの生鮮食品の需要が拡大しているのは何も意外なことではない。興味深いのは中国の学校が、オンライン教育やオンラインオフィスツール「釘釘(DingTalk)」を大規模に採用し、新たな現実に迅速に適応していることだ。シンガポールCNAウエブサイトが伝えた。
さらに新型コロナウイルが、ある意味中国の医療技術の飛躍を後押しする可能性がある。このことに大手製薬メーカーや医療技術メーカーは注目している。
中国の大手技術メーカーは今まさにチャレンジに立ち向かい、大きな責任を担っているといえる。大まかに分けると、ビッグデータを利用した追跡とコンサルティングおよび人工知能(AI)ソリューションで医師を補佐するという医療技術の2つの将来性のある発展と応用が見て取れる。
まず過去数週間、騰訊(テンセント)の「微医(WeDoctor)」や「平安好医生(PingAn GoodDoctor)」などデジタルメディカルプラットフォーム、そして「丁香園」のようなコンテンツ共有プラットフォームがそのプラットフォームを開放。コンサルティングやアドバイスを提供し、リアルタイムで感染状況を追跡し、警告や注意を促している。
次に、直接的または間接的に医者をサポートする複数のソリューションプランが機運に乗じて現れてきている。例えば顔認証技術で知られる依図科技(Yitu)は、新型コロナウイル肺炎の胸部CTを対象にした知的評価システムを上海市公共衛生臨床センターと共同で開発。聯影医療科技も同じようなシステムを開発した。実はこれらのAIソリューションは中国工業情報化部の要請を受け急速に開発が進められている。
掃除ロボット、会話ロボット、その他アプリケーションなど中国企業が先週までに開発した医師や看護師の仕事をサポートするAIシステムは300以上にのぼる。
それにともない出てきた疑問は、これは中国の医療技術を一時的に後押しするのか、それとも長期的なものなのかということだ。少なくとも3つの要因が、中国は今まさに将来の医療技術を形作っているということを説明している。
第一に、中国はデジタル技術を広く受け入れている社会だということだ。8億のネットユーザーが世界最先端のデジタルソリューションを利用している。デジタルペイメント、医療・ヘルスケア、教育、小売りからAI都市管理、シティファクトリーに至るまで応用が急速に進んでいる。そのため中国でデジタルソリューションや医療技術の革新が受け入れられていることはそれほど驚くことではない。
第二に、フィリップスの最近の研究で、中国はデジタルヘルスの採用において世界でトップクラスにあることがわかった。特に西欧諸国の同業者と比べると、病院内が込み合っている中国の医療スタッフのほうが患者に技術を使った健康指標の追跡を勧めているという。例えば中国では50%以上の患者と医療の専門家がインターネット設備を通じてデータを共有している一方、英国ではその割合は25%に満たない。
第三に、目下の危機は確かに中国の医療技術を後押ししているが、こうした情況は今に始まったわけではない。ボストンコンサルティンググループの最近の研究で、中国が世界第3位の医療技術市場であることがわかった。
中国は今病気で休暇中だが、怠けているわけではない。中国企業の向上心と現実的に問題を解決する態度を過小評価するのは賢明ではない。中国は違った方法で危機を乗り越え、再び力強く返り咲くだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年3月10日