イギリスの「集団免疫」は科学的か諦めか?

イギリスの「集団免疫」は科学的か諦めか?。

タグ:ウイルス 免疫 治療 肺炎 感染症

発信時間:2020-03-17 16:24:20 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 

▽議論が待たれる「集団免疫」


 では、「集団免疫」とは何だろうか?


 ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のマーティン・シボドー教授によると、新型コロナウイルスに感染する人が増えれば、治る人も増え、治った人にはウイルスに対する免疫力が生まれるということも少なからず明らかになっている。免疫力がある人が増えれば、ウイルスに感染しなくなる。人口の約70%の人が感染後に回復すれば、大流行の確率は大幅に下がる。これがいわゆる「集団免疫」だという。


 シボドー教授の70%説に対し、バレス氏は人口の約60%の感染で「集団免疫」が成立するとしている。


 リヴァプール大学のマシュー・ベーリス教授は、ワクチンがない状況で集団免疫を成立させる過程に「非常に懸念」があるとしている。新型コロナウイルスによる致死率1%という低い数値から計算したのなら、英国で50%の人が感染したとしても想像しがたい致死率になるだろうと危惧する。


 英パーブライト研究所のシモン・ガビンズ博士によると、集団免疫はウイルスにとっては一種の「進化の圧力」で、インフルエンザウイルスが変異して人の免疫力が対応できない新しい菌種ができるように、免疫システムの束縛から逃れるためにウイルスを新しい変化に適応させることになる。「新型コロナウイルスについては、いまのところ同じような状況が発生するか十分な情報がない」と警鐘を鳴らす。


 インペリアル・カレッジ・ロンドンのピーター・オープンショウ教授は「科学界の新型コロナウイルに対する認識はまだ不十分なため、ウイルスの免疫システムへの影響はまだ未知の部分があり、より深い研究によって明らかにする必要がある」と指摘する。

 

▽徐々に高まる批判の声


 英政府の感染対策への批判の声は高まってきている。15日の時点で、400人以上の英国の大学や研究機関の学者が公開状に署名。学者らは公開状の中で、「集団免疫」は今の段階でとる選択ではない、これはかえって英国の公衆衛生システムにより大きな負荷をかけ、まったく必要のないより多くの生命を危険にさらすことになると訴えた。


 英議会が設ける請願サイトの統計データによると、現地時間14日午前の時点で、ウイルスの蔓延を食い止めるため、積極的な方針を取るよう英政府に呼びかける請願書に10万人以上が署名。英国の規定によると、請願者数が10万人を超えると、議会はその議題について議論する必要がある。


 呼吸器医学の専門誌「ランセット・レスピラトリー・メディシン」は13日付で発表した社説で、流行を遅らせる計画実施に関する英政府の決定は科学に基づいており、ソーシャルメディアを含む多くの情報配信プラットホームを通じて決定の背景にある根拠を市民にしっかりと説明し、誤った情報の拡散を打ち消し、パニックが広がるのを回避しなければならないと呼びかけた。


 「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年3月17日

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