米国のインフルエンザ患者、新型コロナはどの程度含まれるか?

米国のインフルエンザ患者、新型コロナはどの程度含まれるか?。

タグ:米国のインフルエンザ患者 新型コロナ

発信時間:2020-05-08 15:37:20 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 米スクリプス研究所の遺伝学者のエリック・トポル氏は4月、ワシントン・ポストのインタビューに応じた際に、「実際には新型コロナ患者だったが、インフルエンザもしくは肺炎患者と誤診された人はどれほどいるだろうか」と疑問を呈した。トポル氏の疑問は人々の疑問でもある。米国の新型コロナ患者の統計データからは、インフルエンザと誤診された患者がどれほど抜け落ちているのだろうか。


 米国の複数の疫学専門家は、米国で新型コロナ発生後、ウイルスに対する認識不足、観測システムの警報の遅れ、検査の不徹底などの要素により、新型コロナ患者とインフルエンザ患者の境界線が「あいまい」になっていると述べた。インフルエンザの死者とされている人が、新型コロナに感染していた可能性があるというのだ。


 新型コロナの感染拡大早期は、米国のインフルエンザシーズンだった。しかし米国各地の呼吸器疾患観測システムは直ちに従来と異なる発症傾向を識別できなかった。米国疾病予防管理センター(CDC)は2月26日、カリフォルニア州サンタクララ郡で感染源不明の新型コロナ感染者が出たことを裏付けた。これは新型コロナウイルスの米国における初の市中感染とされていた。ところがカリフォルニア州が先ほど発表した検査報告によると、2月6日の時点で現地で新型コロナウイルス肺炎による死者が出ており、米政府が発表していた初の死者が出た時期を20日以上も早めた。


 サンタクララ郡保健局のサラ・コーディー局長は先ほどロサンゼルス・タイムズのインタビューに応じた際に、「カリフォルニア州で新たに確認された死者は、直ちに発見されたなかった新型コロナ感染者が多くいることを示した。これは当時の市中感染の深刻性を反映した」と述べた。南カリフォルニア大学公共政策学部のNeeraj Sood教授も、米メディアのインタビューに応じた際に「新型コロナは、初の死者が出る3週間前から市中感染が始まっていた可能性がある」と述べた。


 CDCの関係者らが作成した米国の感染発展分析報告書がこのほど公開された。それによると、2月末にカリフォルニア州サンタクララ郡で初の市中感染が確認された後、公衆衛生部門は3月5−14日に同郡の4つの緊急看護センターで新型コロナ市中感染の観測を行った。受診に来た呼吸器疾患の症状を持つ人を検査したところ、インフルエンザ患者は23%のみだった。医療従事者はインフルエンザ検査結果が陰性で、呼吸器の症状を持つ人のみを対象に新型コロナ検査を行った。うち11%の感染が確認でき、呼吸器症状を持つ人の約8%を占めた。


 米国のインフルエンザ患者には、新型コロナ感染者がいたのではないだろうか。この問題は米国で初の感染者が確認されてからすぐに浮上していた。NYタイムズなどの報道によると、米国が今年1月に公式に初の新型コロナ感染者を報告した後、シアトルのインフルエンザ観測プロジェクトの指導に参加していたワシントン大学の感染症専門家のヘレン・チュー氏と同僚は連邦政府及びワシントン州に対して、同プロジェクトで集めたインフルエンザ患者の検体の新型コロナ再検査を行う許可を求めたが、許可が得られなかった。プライバシーの問題というのが理由だ。ヘレン・チュー氏のチームが2月末、近日中に渡航歴のない若いインフルエンザ患者の検体の新型コロナ検査を行ったところ、陽性反応が出た。


 これは誰も意識しないまま、新型コロナ感染が米国で密かに広がっていたことを意味する。これは実際の状況の「氷山の一角」に過ぎないかもしれない。全米でインフルエンザと診断されたが実際には新型コロナだった患者がどれほどいるかは、すでに計算が難しい状況だ。


 米国における早期の検査の「高いハードル」及び検査能力の不足により、多くの疑い患者が速やかに新型コロナ感染と確定されなかった。ロサンゼルス・タイムズは4月23日、「保健職員が渡航者やクルーズ船の乗客の検査に専念していたころ、新型コロナウイルスはすでに米国のコミュニティで密かに蔓延していた」と伝えた。


 米保健福祉省長官室が4月6日に発表した調査結果によると、各州の回答に応じた病院323軒で検査キットが不足していた。検査能力を持たない病院が多く、検体採取後に外の実験室に送る必要があった。結果待ちの時間は1週間以上。これらの問題により、新型コロナ患者の感染確定が非常に難しくなった。


 CDCのロバート・レッドフィールド所長は3月11日、米下院の新型コロナ関連の公聴会に出席した際に、米国には新型コロナによる死者がインフルエンザと誤診されたケースがあると認めた。


 CDCが2月末に発表した報告書のデータによると、2019年冬から始まるインフルエンザシーズンに、米国では3200万人以上の感染者が出たとみられる。うち1万8000人がインフルエンザ関連疾患で亡くなった。


 米ワシントン大学保健指標評価研究所は先ほど新型コロナ関連モデルの予測結果を更新し、8月4日までの米国の新型コロナ死者が13万4000人を超えるとした。このデータは米国の死者数の予測値を上方修正したが、これにはインフルエンザと誤診された多くの新型コロナ死者が含まれていない。


 米国食品医薬品局のスコット・ゴットリーブ元長官は米CNBCのインタビューに応じた際に、「米国の新型コロナ患者の実際の数は現在報告されている数値の10倍、さらには20倍にのぼる可能性がある」と述べた。


「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年5月8日


TwitterFacebookを加えれば、チャイナネットと交流することができます。
中国網アプリをダウンロード

日本人フルタイムスタッフ募集    中国人編集者募集
「中国網日本語版(チャイナネット)」の記事の無断転用を禁じます。問い合わせはzy@china.org.cnまで