武漢市衛生健康委員会が8日夜に発表した情報によると、武漢市の無症状感染者300人のウイルス培養結果はいずれも陰性だった。この結果について、中国疾病予防管理センター疫学首席専門家の呉尊友氏は9日、環球時報の独占インタビューに応じた際に「この結果で、無症状感染者には感染力がないと単純に結論付けるべきではないが、武漢はすでに非常に安全という比較的確かな結論を導き出せる。また大規模な市中感染が再発する可能性は低い」と述べた。
武漢市衛生健康委員会の発表によると、5月14日から6月1日にかけて行われた集中的なPCR検査で見つかった無症状感染者300人の痰液と咽頭スワブの検体を取り、中国科学院武漢ウイルス研究所でウイルス分離・培養を行ったところ、300人の検体から「活性ウイルス」が培養されなかった。専門家は、これは検体に含まれるウイルスの量が極めて少ないか、病原性のある「活性ウイルス」が存在しないことを示していると判断した。
呉氏は「この結果により、無症状感染者が感染力を持たないという結論を単純に導き出すことはできず、区分に注意する必要がある。俗に言う無症状感染者には、実際には次の2種類が含まれる。まずは活性ウイルスを持つが症状のない感染者、次にウイルス核酸成分を持つが感染の活性を持たない過去の感染者だ。感染の活性を持たず、再び感染を引き起こすことのないのは後者のみだ」と述べた。
武漢大学医学部ウイルス研究所教授の楊占秋氏も9日、環球時報のインタビューに応じた際に「活性ウイルスが培養されなかったからといって、これらの無症状感染者の体内に活性ウイルスがないとは限らない。培養に成功しなかった可能性もある。ウイルス培養の陽性率は比較的低く、PCR検査で陽性だった無症状感染者100人の検体を培養したとしても、そのすべてから活性ウイルスが培養されるとは限らない。その感度がPCR検査を大きく下回ることは間違いない」と述べた。
楊氏はまた、「それからこれらの体内のウイルスが少なく、1回の培養だけでは成功しにくいという可能性もある。例えばある無症状感染者の体内にごく少量のウイルスがある場合、1回の培養では成功が難しい。培養を行う際には通常、患者の検体を細胞内に置き、その3世代目が陽性反応を示さなかった場合に、科学的な意義においてウイルス培養結果は陰性と言える」と説明した。
しかし呉氏は同時に、「現時点ではすでに、武漢はすでに非常に安全という比較的確かな結論を導き出せる。武漢は全国各地と同様、改善と成熟が続く感染対策が講じられており、大規模な市中感染が再発する可能性は低い。外からの輸入を防止し、現在の感染対策状況を維持すれば、わずかな感染者輸入が発生しても大流行することはない」と強調した。
これは中国は新型コロナウイルスについて安心してもいいということだろうか。呉氏は「新型コロナウイルスに感染しやすい人が依然として残されている。武漢の少なくとも95%以上、全国の99%以上の人が感染しやすい。少数の感染者がこの感染しやすい人と接触すれば、火花が枯れ草に落ちるようなものだ。直ちに発見し思い切った措置を講じなければ、暴発する可能性は残されている」と指摘した。
イタリアの有名医師のアルベルト・ザングリロ氏は先ほど、新型コロナウイルスの毒性がやや弱まっており、「臨床上、新型コロナウイルスはすでにイタリアから消えた」と述べた。しかし世界保健機関(WHO)は直ちにこの説を否定した。今回の武漢市における無症状感染者のウイルス培養結果は、「ウイルスが弱くなっている」という論調を再び裏付けたように見えるが、事実は果たしてその通りなのだろうか。楊氏もこれを否定し、「ウイルスが弱くなったのではない。ウイルスが短期間内に弱くなることはない。現在はウイルスの流行シーズンではなく、現在の自然環境もウイルスの生存に適していない。ウイルスは排出された後、すぐに死滅する。無症状感染者が活性ウイルスを排出すれば、感染力を持つことになる。しかし排出するウイルスの数が少なければ、感染を引き起こすには不十分だろう。例えば1、2個であれば他者にうつらない」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年6月9日